Adobe Marketo Engage(マルケト)とは?料金・機能・導入メリットを解説|世界的に使われるBtoB向けMAツール
2026.10.12
- BtoBマーケティング
BtoBマーケティングの高度化に取り組む企業で必ず名前が挙がるMA(マーケティングオートメーション)ツールが、アドビが提供する「Adobe Marketo Engage(アドビ マルケト エンゲージ)」です。旧Marketo社が開発し、2018年にアドビが買収して以降はAdobe Experience Cloudの中核製品の一つとして展開されています。本記事では、Marketo Engageの特徴・主な機能・料金の考え方・類似ツールとの違い・導入事例、そして導入・運用を支援する会社までを、執筆時点の公開情報に基づいて中立的な視点で解説します。
Adobe Marketo Engageとは

Adobe Marketo Engageは、見込み顧客(リード)の獲得から育成(ナーチャリング)、営業への引き渡し、受注後のクロスセルまで、顧客エンゲージメント全体を管理するMAプラットフォームです。メール配信にとどまらず、Web・モバイル・イベント・ウェビナー・デジタル広告など複数チャネルをまたいだシナリオ設計ができる点、そしてSalesforceなどのCRM/SFAと双方向で連携できる点が大きな特徴です。

もともとBtoBマーケティングの本場である米国で生まれた製品で、国内解説記事などでは世界6,000社を超える企業で導入されていると紹介されることの多い、代表的なグローバルMAツールです。日本語にも対応し、国内にはユーザーコミュニティや支援会社のエコシステムが形成されているため、「情報が手に入りやすい外資系MA」という位置づけにあります。
MAツールが解決する課題はシンプルで、「獲得した名刺・リードが放置され、商談化のタイミングを逃している」という状態の解消です。展示会やWebから獲得したリードに対し、興味関心に応じた情報提供を自動で続け、購買意欲が高まった瞬間を検知して営業へつなぐ。この一連の流れを人手に頼らず回せるようにするのがMAであり、Marketo Engageはその中でも設計の自由度と拡張性が高い製品として知られています。CRM/SFA側の基礎知識は「Zoho CRMとは」「Mazrica Salesとは」もあわせてご覧ください。
主な機能とできること

アドビ公式サイトで紹介されている主な機能は次のとおりです。
- キャンペーン管理:マルチステップのシナリオ(スマートキャンペーン)を構築し、顧客の反応データに応じて自動で出し分け。成功したキャンペーンの複製・再利用も可能
- リードスコアリング:行動・属性データをもとにリードの見込み度を自動更新し、営業に渡すタイミングを判定
- オムニチャネル配信:メール、Web、モバイル、チャット、イベント、ウェビナー、デジタル広告を横断してエンゲージメントを実行
- 生成AIによるコンテンツ作成:メッセージや画像のバリエーションを生成AIで作成し、効果の高いコンテンツを予測
- マーケティング分析:ダッシュボード、カスタマイズ可能なレポート、マルチタッチアトリビューション(複数接点の貢献度分析)
- セールス連携:CRMとの双方向連携に加え、営業向けのテンプレート・メール・チャット機能を提供
- AI・外部連携の拡張:Data Streamsによるリアルタイムデータ連携や、AIアプリケーション・LLMと連携するためのMarketo Engage MCPサーバーの提供も発表されており、AI活用の拡張が進んでいます
単なるメール配信ツールではなく、「リードのデータベース」と「シナリオエンジン」を中核に、マーケティングと営業の間のプロセス全体を設計できるのがMarketo Engageの本質です。
料金体系の考え方

Marketo Engageの料金は公式サイトでは公開されておらず、データベースに登録する連絡先(リード)数や利用機能の範囲に応じた個別見積りとなります。複数のパッケージ(エディション)が用意されており、上位になるほど分析・連携機能が拡張される構成です。国内の比較サイトやレビューサイトでは、月額数十万円規模からの導入事例が紹介されることが一般的で、国産MAツールと比べると高価格帯に位置します。
費用を試算する際は、ライセンス費用だけでなく次の3点を合わせたTCO(総保有コスト)で考えることが重要です。
- ライセンス費用:リード数の増加に応じて段階的に上がる
- 運用人件費:シナリオ設計・コンテンツ制作・データ管理に専任0.5〜1名相当の工数が目安とされることが多い
- 外部支援費用:導入初期の設計支援や運用代行を利用する場合の委託費
※料金に関する記載は執筆時点の公開情報に基づく目安です。正確な金額は公式サイトおよび販売パートナーへの見積りでご確認ください。
類似MAツールとの比較(HubSpot・SATORI・Account Engagement)

MAツールは製品ごとに価格帯も得意分野も大きく異なります。国内でよく比較される代表的なツールとの違いを整理すると次のとおりです(いずれも執筆時点の各社公開情報に基づく目安です。最新の料金・機能は各公式サイトでご確認ください)。
| ツール | 提供元 | 料金の目安 | 特徴・強み |
|---|---|---|---|
| Adobe Marketo Engage | アドビ | 非公開(個別見積り。月額数十万円規模からとされることが多い) | 複雑なナーチャリングシナリオと拡張性。リード数の多い中堅〜大企業のBtoBに強い |
| Account Engagement(旧Pardot) | セールスフォース | Growthで月額150,000円〜(年間契約) | Salesforce CRMとの一体運用が前提なら連携がスムーズ |
| HubSpot Marketing Hub | HubSpot | 無料プランあり・有料は段階的なプラン制 | CRM一体型で小さく始めやすく、インバウンド施策全般をカバー |
| SATORI | SATORI株式会社(国産) | 初期300,000円+月額148,000円 | 匿名リード(実名化前の訪問者)へのアプローチに強く、国内サポートが手厚い |
選び分けの軸は「リード数と営業プロセスの複雑さ」「既存CRMとの相性」「運用体制」の3つです。SalesforceをCRMの中核にしている企業はAccount Engagementとの比較が定番ですし、マーケティング組織を立ち上げたばかりの企業ではHubSpotやSATORIから始める選択肢もあります。Marketo Engageは初期投資と運用体制が必要になる分、シナリオ設計の自由度と拡張性で優位性があるという位置づけです。
導入事例と向いている企業・注意点

Marketo Engageが向いているのは、具体的には次のような課題を抱えている企業です。
- 展示会・Web経由で獲得したリードが数千〜数万件あるのに、名刺情報のまま放置され商談につながっていない
- マーケティング部門と営業部門の間でリードの受け渡しルールがなく、フォローの抜け漏れが起きている
- メール・セミナー・広告など施策がバラバラに走っており、どの施策が商談・受注に効いたのか説明できない
- グローバル展開や複数事業部でのMA活用など、将来の拡張を見据えた基盤を整えたい
公開されている国内の導入事例としては、半導体メーカーの旭化成エレクトロニクスがアドビ公式の事例でMarketo Engageによる「施策の高度化、スピード化」を挙げているほか、企業情報調査の東京商工リサーチがソフトバンクの導入事例としてMarketo Engage活用による顧客接点の強化を紹介されています(いずれも執筆時点で各社公式サイトに掲載されている事例です)。
Marketo Engageの強みは、リード数が多く、商談までの検討期間が長いBtoBビジネスにおいて、複雑なナーチャリングシナリオを柔軟に設計できることです。CRMとの双方向連携により「マーケティングが温めたリードを、スコアが閾値を超えた瞬間に営業へ渡す」といった仕組みを構築でき、部門間の分断を解消しやすくなります。拡張性が高いため、事業の成長に合わせてシナリオやチャネルを増やしていけるのも利点です。
一方で、注意点もはっきりしています。
- 運用には専門知識が必要:多機能ゆえに設計の自由度が高く、専任担当者や支援会社なしでは使いこなせず「高価なメール配信ツール」になりがち
- 価格帯が高い:リード数が少ない(目安として数千件未満)段階では投資回収が難しい場合がある
- コンテンツ制作力が前提:シナリオを回すためのメール・資料・セミナーなどのコンテンツを継続的に作る体制が必要
メール配信とフォーム作成が中心のシンプルな用途であれば、SATORIのような国産MAツールの方が立ち上げやすいケースもあります。自社のリード数・営業プロセスの複雑さ・運用体制の3点から、過不足のないツールを選ぶことが失敗を避ける最大のポイントです。
導入を検討する際は、次のチェックリストで前提を確認しておきましょう。
- 保有リード数は数千件以上あるか、または今後の増加が見込めるか
- リード獲得から受注まで複数の接点・長い検討期間があるビジネスか
- CRM/SFAが導入済みで、連携してリードを受け渡す営業プロセスを設計できるか
- シナリオ設計・コンテンツ制作を担う専任担当者(または支援会社の予算)を確保できるか
- MAで何を達成するか(商談化率、案件単価など)のKPIが定義できているか
導入の進め方としては、(1)現状のリード管理と営業プロセスの棚卸し、(2)最初に自動化するシナリオを1〜2本に絞った設計、(3)CRM連携とスコアリングの初期設定、(4)運用しながらシナリオを追加、という段階的なアプローチが定石です。最初から多機能を使い切ろうとせず、小さく始めて成果を確認しながら広げることが定着の近道です。
Marketoの導入・運用を支援する会社5選

Marketo Engageは導入後の設計・運用定着が成果を左右するため、支援会社と組んで立ち上げる企業が多くあります。ここでは、Marketoの導入・運用支援に関する公開情報が確認できる会社を紹介します(掲載順に優劣はありません)。
ワンマーケティング株式会社
BtoBマーケティング支援の専門会社で、Marketoの導入・運用支援サービスを提供しています。戦略設計からコンテンツ制作、運用定着までBtoBマーケティング全体を一気通貫で支援するスタイルが特徴で、MA導入を機にマーケティング体制そのものを立て直したい企業に向いています。公式サイト
株式会社パワー・インタラクティブ
Marketoの導入・活用支援を提供するデジタルマーケティング支援会社で、レビューサイトのMarketo支援パートナー部門にも掲載されています。データ活用やスコアリング設計など運用フェーズの伴走支援に強みがあり、導入済みだが活用しきれていない企業の立て直しにも向いています。公式サイト
パーソルビジネスプロセスデザイン株式会社
パーソルグループのBPO・セールスマーケティング支援会社で、Marketo運用支援サービスを公式に提供しています。シナリオ運用やオペレーション代行など、人手のかかる運用業務をアウトソースしたい企業に向いています。公式サイト
ソフトバンク株式会社
法人向けサービスとしてMarketo Engageを取り扱い、導入から運用までをサポートすると公表しています。通信・ITインフラとあわせて法人営業網による導入相談ができるため、グループでのIT調達と合わせて検討したい企業の窓口になります。公式サイト
Semuis株式会社(※当メディア運営会社)
当メディアを運営するSemuis株式会社は、BtoBマーケティング支援を提供しており、リード獲得施策の設計からセミナー・展示会後のフォロー、MAを活用したナーチャリング体制の構築まで、マーケティングと営業をつなぐ実務を支援しています。ツール運用と施策実行をあわせて相談したい企業に向いています。サービス紹介ページ
※掲載情報は執筆時点の各社公開情報に基づきます。依頼前に各社公式サイトで最新のサービス内容をご確認ください。
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Semuis株式会社 代表取締役。BtoBマーケティング・セールス支援、ECコンサルティング、BPO、リスキリング事業を展開。まだ世に広まっていない優良企業の発掘と、挑戦欲の高い個人の成長に貢献することにコミット。趣味はブラジル音楽と筋トレ、読書など。
