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健康経営とは?中小企業でも始められる進め方5ステップと「健康経営優良法人2026」の変更点

2026.09.29

  • ウェルビーイング

「健康経営」という言葉を耳にする機会が増えました。人手不足が深刻化するなか、従業員の健康づくりに投資する企業が採用・定着・生産性の面で成果を上げつつあり、経済産業省の認定制度「健康経営優良法人」には毎年多くの企業が申請しています。本記事では、健康経営の基本から、データで見るメリット、2026年度認定の変更点、中小企業でも今日から始められる進め方5ステップまでを解説します。

健康経営とは?注目される背景

健康経営とは?注目される背景

健康経営とは、従業員の健康保持・増進の取り組みを「コスト」ではなく「経営への投資」と捉え、戦略的に実践する経営手法です。経済産業省が推進しており、優れた取り組みを行う企業を顕彰する「健康経営優良法人認定制度」や、上場企業を対象とした「健康経営銘柄」が整備されています。

注目される背景には大きく3つの要因があります。第一に人手不足の深刻化です。限られた人材に長く健康に働いてもらうことが、企業存続の条件になりつつあります。第二に健康リスクの高まりです。働く人の高齢化に伴い、生活習慣病やメンタルヘルス不調による休職・離職が経営に直接影響するようになりました。第三に取引先・求職者からの評価です。認定マークは求人票や名刺にも掲載でき、「人を大切にする会社」という客観的なシグナルとして機能します。

厚生労働省の労働安全衛生調査では、仕事や職業生活に関して強い不安やストレスを感じる労働者は8割超とされており、従業員の心身の健康は、どの企業にとっても無視できない経営テーマとなっています。

さらに近年は、上場企業を中心に「人的資本の情報開示」が求められるようになり、従業員の健康状態や働きやすさへの取り組みを投資家に説明する流れが強まっています。健康経営はもはや福利厚生の一部ではなく、人材戦略・IR・採用広報にまたがる経営アジェンダとして扱われるようになっているのです。この流れは大企業だけでなく、取引先や採用市場を通じて中小企業にも波及しています。

データで見る健康経営のメリット

データで見る健康経営のメリット

健康経営のメリットは、大きく「人材面」「生産性面」「企業評価面」の3つに整理できます。

人材面では、採用力と定着率への効果が挙げられます。健康経営優良法人の認定企業からは、求人応募数の増加や離職率の低下といった事例が多く報告されています。就職活動中の学生やその保護者が「従業員の健康や働き方への配慮」を企業選びで重視する傾向は、経済産業省の資料でも繰り返し紹介されています。

生産性面で注目したいのが「プレゼンティーイズム」です。出勤はしているものの、体調不良やメンタル不調で本来のパフォーマンスが発揮できていない状態を指し、欠勤(アブセンティーイズム)よりも損失が大きいという研究が国内外で報告されています。睡眠・運動・食事といった生活習慣の改善支援は、この見えない損失を減らす投資といえます。WHO(世界保健機関)は、うつ病や不安障害によって失われる生産性の損失を世界全体で年間約1兆ドルと推計しており、メンタルヘルスへの投資は回収可能な投資であると指摘しています。

また、経済産業省が公表している健康経営度調査の分析では、健康経営に積極的な企業ほど離職率が低い傾向や、外部からの企業評価(株価・求人応募)に好影響がある可能性が繰り返し示されています。もちろん業種や規模によって効果の現れ方は異なりますが、「健康への投資は人材と生産性への投資」という考え方は、データの面からも裏付けられつつあります。

企業評価面では、認定取得により自治体の入札加点、金融機関の融資優遇、保険料の割引などのインセンティブを受けられる場合があります。対象や内容は地域・機関により異なるため、最新の公式情報で確認しましょう。

健康経営優良法人認定制度と2026年度の変更点

健康経営優良法人2026の変更点

健康経営優良法人は、大規模法人部門と中小規模法人部門に分かれ、上位法人はそれぞれ「ホワイト500」「ブライト500」として顕彰されます。認定数は年々増加しており、2024年度は大規模法人部門3,148社・中小規模法人部門16,733社が認定されるなど、合計約2万社規模の制度に成長しています。申請は例年、夏頃に受付が始まり、翌年3月頃に認定が発表されるスケジュールです。

2026年度認定に向けては、評価の重点に次のような変化が見られます。

  • メンタルヘルス対策の強化:ストレスチェックを実施するだけでなく、集団分析の結果を職場環境改善につなげているかが問われます。なお、ストレスチェックは法改正により50人未満の事業場にも義務化が予定されています。詳しくは「ストレスチェック制度とは?50人未満の事業場も2028年4月義務化」をご覧ください。
  • 女性の健康支援:月経・更年期・妊娠出産など、女性特有の健康課題への取り組みが評価項目として拡充されています。
  • アウトカム重視:施策の実施有無だけでなく、参加率や数値の改善といった「成果」の開示が推奨される流れです。

認定基準・申請要件の詳細は年度ごとに見直されるため、必ず経済産業省・日本健康会議の最新の公式情報を確認してください。

申請の大まかな流れは、(1)健康経営度調査(大規模法人)または申請書(中小規模法人)への回答、(2)保険者(協会けんぽ・健保組合)の健康宣言事業への参加確認、(3)審査・認定という順序です。中小規模法人部門では、自社の取り組みを「経営理念」「組織体制」「制度・施策実行」「評価・改善」の枠組みで整理して記載します。初めての申請では、前年度の認定企業の取り組み事例(ポータルサイトで公開)を参考にすると、自社に足りない項目が把握しやすくなります。

中小企業でも始められる進め方5ステップ

健康経営の進め方5ステップ

健康経営は大企業だけのものではありません。以下の5ステップなら、専任部署のない中小企業でも着手できます。

ステップ1:健康宣言と担当者の決定。経営者が「従業員の健康を大切にする」と社内外に宣言し、推進担当を決めます。多くの地域で協会けんぽの「健康宣言」事業に参加でき、これが中小規模法人部門の申請要件にもなっています。

ステップ2:健康課題の見える化。健康診断の受診率、有給取得率、残業時間、ストレスチェック結果などを集計し、自社の課題を把握します。

ステップ3:施策の選定。課題に対応する施策を1〜2個に絞って始めます。例えば運動不足が課題なら「週150分の運動習慣づくり」、食生活が課題なら「働く人の食生活改善」の記事で紹介しているような取り組みが参考になります。

中小企業で取り組みやすい施策の例としては、次のようなものがあります。

  • 健康診断の受診率100%の徹底と、再検査費用の補助
  • 朝礼でのラジオ体操、階段利用の推奨など「ゼロ円でできる運動施策」
  • ノー残業デーの設定と有給休暇の計画的付与
  • 社内共有スペースへの野菜ジュース・無糖飲料の設置など食環境の改善
  • 睡眠や女性の健康に関する社内セミナーの開催(外部講師・動画教材の活用)
  • 相談窓口(社内・外部EAP)の周知とストレスチェック後のフォロー

重要なのは、いきなり大がかりな制度を作ることではなく、自社の課題に合った施策を小さく始めて記録を残すことです。

ステップ4:実行と記録。実施日・参加率・アンケート結果を記録します。申請時の根拠資料になるほか、効果検証にも使えます。

ステップ5:振り返りと認定申請。年1回、数値の変化を振り返り、翌年度の計画に反映します。体制が整ったら健康経営優良法人の申請に挑戦しましょう。

取り組み開始から認定取得までの期間は、健康宣言への参加時期や申請スケジュールにもよりますが、おおむね1年〜1年半を見込むのが現実的です。費用面では、ゼロ円で始められる施策も多い一方、申請には所定の申請料がかかります。金額は部門や年度によって異なるため、最新の公式案内で確認してください。

定着させる運用のコツとよくある失敗

定着のコツとよくある失敗

よくある失敗の典型は、単発イベントで終わってしまうことです。ウォーキングイベントを1回開催して満足してしまい、日常の行動が変わらないケースは少なくありません。「毎月第3水曜はノー残業デー」のように、仕組みとして日常に埋め込むことが定着の鍵です。

次に多いのが、数値目標と担当が曖昧なまま進めることです。「健診受診率100%」「有給取得率60%以上」など、測定可能な目標を1つでも設定し、責任者を決めることで、取り組みが継続します。

また、経営層が参加しない取り組みは形骸化しがちです。社長自身が健診を受け、休暇を取り、イベントに参加する姿勢が、従業員の行動を最も強く後押しします。反対に、健康施策を人事評価や強制と結びつけすぎると反発を招くため、あくまで自発的な参加を促す設計が望ましいでしょう。

最後に、健康経営を定着させるためのチェックリストを挙げます。

  • 経営者が健康宣言を社内外に発信しているか
  • 健診受診率・有給取得率・残業時間など基礎データを毎年集計しているか
  • 測定可能な数値目標と担当者が決まっているか
  • 施策の実施記録(日時・参加率・感想)を残しているか
  • 年1回、経営会議で健康経営の振り返りを行っているか

5つのうち3つ以上に「はい」と答えられれば、健康経営優良法人の申請視野に入ります。できていない項目から優先的に着手しましょう。

健康経営は、従業員のウェルビーイングと企業の持続的成長を同時に実現する取り組みです。まずは自社の健康課題の見える化から始めてみてはいかがでしょうか。Semuis株式会社では、企業の情報発信やマーケティングに関するご相談を承っています。健康経営の取り組みを採用広報や企業ブランディングに活かしたい方は、お問い合わせフォームよりお気軽にご相談ください。

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