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人材開発支援助成金「人材育成支援コース」とは?助成率・対象訓練と申請手順5ステップ【2026年度】

2026.10.12

  • リスキリング

従業員研修の費用負担を軽くできる国の制度として、最も広く使われているのが人材開発支援助成金です。その中でも中核となるのが「人材育成支援コース」で、10時間以上の社外研修(OFF-JT)にかかる経費と、研修期間中の賃金の一部が助成されます。2026年度(令和8年度)には45歳以上を対象とする新しい訓練メニューが加わるなど制度改正も行われています。本記事では、人材育成支援コースの対象訓練・助成率・2026年度の変更点・申請手順を、執筆時点の公開情報に基づいて解説します。

人材育成支援コースとは?4つの訓練メニュー

人材育成支援コースとは?4つの訓練メニュー

人材育成支援コースは、雇用保険の被保険者である従業員に対して、職務に関連した知識・技能を習得させるための訓練を実施した事業主に、訓練経費や訓練期間中の賃金の一部を助成する制度です。企業規模を問わず利用でき、申請先は都道府県労働局です。対象となる訓練メニューは次の4つです。

  • ①人材育成訓練:10時間以上のOFF-JT(社外セミナー、集合研修、eラーニング等)。最も利用しやすい基本メニューで、正社員だけでなく有期契約労働者等も対象
  • ②認定実習併用職業訓練:新卒者等(15歳以上45歳未満)向けに、OJTとOFF-JTを組み合わせて行う厚生労働大臣認定の訓練。訓練期間は6か月〜2年、年間換算850時間以上が要件で、OJT実施時には1人あたり20万円(大企業11万円)の定額助成もあります
  • ③有期実習型訓練:有期契約労働者等の正社員転換を目的とした2か月以上の訓練。支給申請日までに正社員転換していることが要件で、OJT助成は1人あたり10万円(大企業9万円)
  • ④中高年層等実践訓練:訓練開始日に45歳以上の労働者向けに、OJTとOFF-JTを組み合わせる2か月以上(6か月換算425時間以上)の訓練。OJTは総時間の10〜90%、OFF-JTを10時間以上含むことが要件で、2026年4月に新設されました

DX研修・営業研修・マネジメント研修など幅広い訓練が対象になり得るため、リスキリング施策の費用計画とセットで検討したい制度です。関連制度としては「人への投資促進コース」や「リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業」もあわせて確認しておくと、自社に合う支援策を選びやすくなります。

助成率・助成額はいくら?

人材育成支援コースの助成率・助成額

執筆時点の主な助成内容は次のとおりです(中小企業/大企業)。

  • 経費助成(人材育成訓練):正社員45%/30%、有期契約等の非正規労働者は70%
  • 経費助成(有期実習型訓練):75%
  • 経費助成(中高年層等実践訓練):60%/45%
  • 賃金助成:1人1時間あたり800円/400円
  • 賃金要件等を満たす場合の加算:経費助成率+15%(有期実習型は+25%)、賃金助成+200円/+100円

経費助成には1人1訓練あたりの上限額があり、中小企業の場合は訓練時間10〜100時間未満で15万円、100〜200時間未満で30万円、200時間以上で50万円です(大企業はそれぞれ10万円・20万円・30万円)。賃金助成の対象時間は1人あたり1,200時間が上限(専門実践教育訓練は1,600時間)で、1事業所の年間上限は1,000万円、同一労働者への支給は年度3回まで(有期実習型訓練は1回)です。

対象となる経費は、外部機関に支払う受講料・教材費など訓練の実施に直接要した費用が中心です。賃金要件(訓練修了後に対象者全員の毎月の賃金を5%以上引き上げ)または資格等手当要件(手当の支給により3%以上賃金が上がる)を満たす場合の加算は、賃金引き上げ後3か月分の賃金を支払った日から5か月以内に別途申請する仕組みになっています。

試算例:中小企業が正社員1名に受講料10万円・20時間の外部研修を受講させた場合、経費助成4万5,000円(45%)+賃金助成1万6,000円(800円×20時間)=約6万1,000円が目安です。さらに訓練後に賃金を5%以上引き上げるなど賃金要件を満たせば、経費助成6万円(60%)+賃金助成2万円(1,000円×20時間)=約8万円まで増えます(あくまで公開情報に基づく簡易試算であり、実際の支給額は審査により決まります)。

2026年度の主な変更点

人材育成支援コースの2026年度の主な変更点

2026年度(令和8年度)は制度の見直しが相次いでいます。執筆時点で公表されている主な変更点は次のとおりです。

  • 2026年4月:45歳以上を対象とする「中高年層等実践訓練」が新設。あわせて、代表者の親族など密接な関係先に支払う経費の助成対象からの除外や、eラーニング経費の上限引き下げが実施
  • 2026年5月:受講料が著しく高額な場合に価格の妥当性を説明する様式(様式第28号)の提出が必要に
  • 2026年8月:不正受給に関する事業主名公表の運用が厳格化

高額なeラーニング商材を使った不適切な申請への対策が強化されており、「相場より明らかに高い研修」を使うスキームには注意が必要です。訓練の価格・内容が実態に見合っているかどうかが、これまで以上に問われるようになっています。制度の詳細は年度途中でも変わる可能性があるため、最新の要件は必ず厚生労働省の公式情報・管轄の労働局でご確認ください。

申請手順5ステップ

人材育成支援コースの申請手順5ステップ

申請の大まかな流れは次の5ステップです。

  • STEP1 社内体制の整備:職業能力開発推進者を選任し、事業内職業能力開発計画を作成・周知する
  • STEP2 訓練計画届の提出:訓練開始日の6か月前〜1か月前までに、訓練計画届と対象者一覧などを労働局へ提出する
  • STEP3 訓練の実施:提出した計画どおりに訓練を実施する(OJT併用メニューはジョブ・カードによる職業能力評価が必要)
  • STEP4 支給申請:訓練終了日の翌日から2か月以内に支給申請書と実施記録・経費の証憑を提出する
  • STEP5 審査・支給:労働局の審査を経て支給決定

最大のつまずきポイントは「計画届は訓練開始の1か月前まで」という期限です。研修日程が決まってからでは間に合わないケースが多いため、研修の企画段階から申請スケジュールを逆算しておく必要があります。6か月を超える長期訓練は、各期間の出席率が8割以上であれば6か月ごとの分割申請も可能です。

STEP1の社内体制整備は初回だけ必要な準備で、具体的には「職業能力開発推進者の選任(人事担当者などを充てるのが一般的)」「事業内職業能力開発計画の作成と従業員への周知」「定期的なキャリアコンサルティングの機会を就業規則等に定めること」が求められます(有期実習型訓練では一部不要)。2回目以降の申請ではSTEP2からのスタートになるため、一度体制を整えてしまえば、毎年の研修計画に合わせて継続的に活用しやすい制度といえます。

活用のポイントと注意点

人材育成支援コース活用のポイントと注意点

申請前に次のチェックリストで要件を確認しておきましょう。

  • 対象者は雇用保険の被保険者か
  • OFF-JTが10時間以上あるか(ジョブ型の短時間研修は対象外になりやすい)
  • 訓練計画届を開始1か月前までに提出できるスケジュールか
  • 研修費用・内容は実態に見合っているか(高額eラーニングは価格説明が必要になる場合あり)
  • 賃金要件(5%以上の賃上げ等)の加算を狙う場合、支給後の別申請(3か月分の賃金支払い後5か月以内)を忘れない体制か
  • 出席記録・経費の証憑類を保存できる体制か

また、対象外になりやすいケースもあらかじめ把握しておきましょう。職務に直接関連しない趣味・教養的な内容、通常の業務説明やOJTのみの訓練、法令で実施が義務付けられている研修(安全衛生教育の一部等)などは原則として対象になりません。訓練時間の要件(OFF-JT10時間以上)を満たしていても、出席率が低い場合や証憑が不足している場合は不支給となることがあります。

類似制度との使い分けも重要です。デジタル・成長分野などのスキル習得には助成率の高い「人への投資促進コース」、新規事業への展開に伴う人材育成には「事業展開等リスキリング支援コース」が用意されており、同じ研修でもどのコースで申請するかにより助成額が変わる場合があります。自社の研修目的に合わせて、最も条件の良いコースを労働局に確認しながら選ぶとよいでしょう。

助成金は後払いのため、いったん研修費用を全額立て替える資金計画も必要です。支給申請から支給決定までは数か月かかることも珍しくないため、キャッシュフローに余裕を持たせておくことも大切です。要件の解釈に迷う場合は、管轄労働局や社会保険労務士への事前相談をおすすめします。教育訓練関連では、従業員個人が使える「教育訓練給付制度」や2025年10月開始の「教育訓練休暇給付金」との使い分けも整理しておくと、会社負担と個人利用を組み合わせた育成設計ができます。

Semuis株式会社では、リスキリング支援事業の一環として、助成金を活用した研修計画の整理や人材育成体制づくりのご相談を承っています。自社に合う制度の選び方や研修設計にお悩みの方は、お問い合わせフォームからお気軽にご相談ください。

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