教育訓練休暇給付金とは?2025年10月開始の新制度を解説|支給額・要件と申請手順5ステップ【2026年版】
2026.10.11
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2025年10月、雇用保険に新しい給付制度「教育訓練休暇給付金」が創設されました。働く人が仕事を辞めずに、長期の休暇を取って学び直しに専念する場合、失業手当(基本手当)に相当する給付を受けられる制度です。「在職のまま、収入の支えを得ながら腰を据えて学べる」仕組みとして、リスキリングを後押しする大きな制度変更といえます。本記事では、支給額・対象者の要件・申請手順を、執筆時点の公開情報に基づいて整理します。制度の詳細や最新情報は、必ず厚生労働省・ハローワークの公式情報でご確認ください。
教育訓練休暇給付金とは

教育訓練休暇給付金は、雇用保険の被保険者が、職業に関する教育訓練を受けるために無給の休暇(30日以上)を取得した場合に、休暇中の生活を支えるために支給される給付金です。雇用保険法の改正により、2025年10月1日から始まりました。
これまで、在職中の学び直しには「働きながら夜間や週末に学ぶ」か「退職して学ぶ」かの二択になりがちでした。退職すれば失業手当を受けられる場合がありますが、キャリアの中断リスクが伴います。本制度は、会社に籍を置いたまま長期休暇で学び、その間は基本手当相当の給付を受けるという第三の選択肢をつくるものです。たとえば「勤続15年の社員が4ヶ月間の無給休暇を取り、専門学校のDX関連課程に通う間、基本手当相当の給付で生活費の一部をまかなう」といった使い方がイメージに近いでしょう。
対象となる教育訓練は、大学・高等専門学校・専修学校・各種学校での教育訓練や、厚生労働大臣の指定講座などです。前提として、勤務先に労働協約や就業規則等に基づく教育訓練休暇制度があることが必要で、休暇の取得を希望する従業員と、制度を整備する企業の双方が関わる制度になっています。
背景には、技術変化のスピードが上がる中で「短時間の研修では身につかない、まとまった学び直し」の必要性が高まっていることがあります。DX人材の育成や専門資格の取得など、数ヶ月単位の集中的な訓練を在職のまま可能にする枠組みとして、企業の人材育成制度設計にも影響する制度といえます。
支給額と支給日数

1日あたりの支給額は、失業手当の基本手当日額と同じ計算方法で、休暇開始前6ヶ月の賃金をもとに算出した賃金日額のおおむね50〜80%(60〜64歳は45〜80%)です。賃金が低いほど高い給付率が適用されます。
基本手当日額には年齢区分ごとの上限があり、執筆時点(令和8年8月1日改定)では、30歳未満7,450円、30歳以上45歳未満8,270円、45歳以上60歳未満9,110円、60歳以上65歳未満7,830円、下限は2,562円です(毎年8月に見直されるため、最新額は厚生労働省の公表資料でご確認ください)。
支給日数は、雇用保険の被保険者であった期間に応じて次の3段階です。
- 被保険者期間5年以上10年未満:90日
- 10年以上20年未満:120日
- 20年以上:150日
試算例:仮に基本手当日額が6,000円で支給日数90日分を受給した場合、総額は約54万円です。半年間の無給休暇で専門学校に通うようなケースでも、一定の生活費を給付でまかなえる計算になります(あくまで概算例であり、実際の支給額は賃金や年齢により異なります)。
月額に換算すると、たとえば45歳以上60歳未満の上限日額9,110円が適用される場合、30日あたり約27.3万円が上限の目安になります。現役時の給与と比べれば減りますが、「無収入で貯金を取り崩す」状態と比べると、学び直しに踏み切る心理的なハードルは大きく下がるはずです。
ここでいう賃金日額とは、休暇開始前6ヶ月に支払われた賃金(賞与等を除く)の合計を180で割った金額です。自身のおおよその支給額を知りたい場合は、「直近6ヶ月の月給合計÷180×給付率(50〜80%)×支給日数」で概算できます。正確な金額は、申請時にハローワークが算定します。本記事の数値は執筆時点の公開情報に基づく目安であり、最新の上限額・給付率は厚生労働省の公式情報でご確認ください。
対象者の要件

給付を受けるには、主に次の要件を満たす必要があります。
- 雇用保険の被保険者であること(週所定労働時間20時間以上・31日以上の雇用見込み)
- 被保険者期間:通算5年以上あること、または休暇開始前2年間に12ヶ月以上あること(疾病等で賃金を受けられなかった期間がある場合は最大4年間まで遡って算定される例外あり)
- 無給の教育訓練休暇を30日以上取得すること:労働協約・就業規則等に基づく休暇であることが必要です。有給の休暇や、会社都合の休業は対象外です
- 対象となる教育訓練を受けること:大学・専修学校等の教育訓練、厚生労働大臣の指定講座など
- 事業主が解雇等を予定している場合は支給されません
休暇開始日から原則1年以内に取得した休暇日が対象ですが、妊娠・出産・育児等の理由がある場合は、ハローワークへの申し出により最大4年以内まで対象にできる特例があります。
従業員側の目線では「自分の被保険者期間が5年以上あるか」、企業側の目線では「就業規則等に無給の教育訓練休暇の定めがあるか」が最初の分かれ目です。制度が社内にない場合は、休暇制度の新設から始める必要があるため、利用希望者が現れてから慌てないよう、あらかじめ人事部門で制度化を検討しておくことをおすすめします。
申請手順5ステップ

申請は従業員個人ではなく、事業主がハローワークに対して行うのが基本の流れです。企業の人事担当者は次のステップで準備を進めましょう。
- 社内制度の整備:労働協約または就業規則に、無給の教育訓練休暇制度を規定する
- 従業員の希望と訓練内容の確認:受講する教育訓練が制度の対象になるか、被保険者期間などの要件を満たすかを確認する
- ハローワークへの申請:従業員の希望を受けて、事業主が管轄のハローワークに申請し、休暇の目的・期間などの確認を受ける
- 休暇の取得と定期申告:従業員が30日以上の休暇を取得して訓練を開始したら、30日ごとに取得状況を事業主がハローワークへ申告する
- 支給決定・受給:認定された日数分の給付金が支給される
ポイントは、ステップ1の制度整備が済んでいないと、個別の申請に進めないことです。就業規則の変更には労働者代表の意見聴取や労働基準監督署への届出といった通常の改定手続きが必要になるため、利用希望の申し出から休暇開始までには一定のリードタイムを見込んでおく必要があります。また、ステップ4の「30日ごとの申告」は事業主側の継続的な事務負担になるため、人事部門内で担当者と手順をあらかじめ決めておくとスムーズです。具体的な提出書類や様式は管轄のハローワークにより案内が異なる場合があるため、着手前に必ず管轄窓口へご相談ください。
利用時の注意点と企業側の活用ポイント

利用にあたって、特に重要な注意点が一つあります。原則として、休暇開始前の被保険者期間は、その後の失業手当の算定対象から外れるという点です。給付金を受けた後6ヶ月以内に退職するなど、休暇後の被保険者期間が短い状態で離職すると、失業手当を受けられない可能性があります(倒産・解雇等による離職の場合は例外があります)。受給を検討する従業員には、この影響まで含めた説明が必要です。
また、休暇中は無給が前提のため、給付だけで生活費全額をまかなえるとは限りません。在職のままの休暇であるため、社会保険(健康保険・厚生年金)の資格は原則継続し、保険料の負担も発生し続ける点は、育児休業のような保険料免除制度とは異なります。賞与や社会保険料の扱いも含め、休暇前に労使で取り決め、資金計画を立てておくことが大切です。働きながら講座費用の補助を受けたい場合は、教育訓練給付制度やリスキリングを通じたキャリアアップ支援事業といった既存制度との使い分け・併用の検討をおすすめします。整理すると、受講費用の補助は教育訓練給付制度など、休暇中の生活費の支えは教育訓練休暇給付金、と役割が異なるため、長期の学び直しでは両者を組み合わせて資金計画を立てるのが基本形になります(併用の可否や条件は個別のケースにより異なるため、ハローワークでの確認が確実です)。
企業側では、数ヶ月単位で社員が抜けることになるため、業務の引き継ぎ計画や代替要員の確保もセットで検討が必要です。一方で、本制度への対応は「長期の学び直しを認める会社」という姿勢を示す人材定着策にもなります。教育訓練休暇制度の導入にあたっては、人材開発支援助成金(人への投資促進コース)など、休暇制度の整備や訓練費用を支援する助成金の活用余地もあわせて確認するとよいでしょう(助成金の要件・受付状況は必ず最新の公式情報・管轄窓口でご確認ください)。
導入検討チェックリスト:□就業規則等に教育訓練休暇の規定があるか/□対象従業員の被保険者期間を確認したか/□受講予定の訓練が対象か管轄ハローワークに確認したか/□休暇中の生活資金・社会保険料の扱いを説明したか/□失業手当への影響を本人が理解しているか
Semuis株式会社では、企業のリスキリング制度設計や、実案件を題材にしたマーケティング・AI活用スキルのメンタリング支援を提供しています。「制度はつくったが、何をどう学ばせるか」でお悩みの経営者・人事担当者の方は、お問い合わせフォームからお気軽にご相談ください。

Semuis株式会社 代表取締役。BtoBマーケティング・セールス支援、ECコンサルティング、BPO、リスキリング事業を展開。まだ世に広まっていない優良企業の発掘と、挑戦欲の高い個人の成長に貢献することにコミット。趣味はブラジル音楽と筋トレ、読書など。
