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薬機法とは?EC事業者が知るべき広告NG表現・課徴金制度と実務チェックリストをわかりやすく解説

2026.08.10

  • Webマーケティング

「シミが消える」「飲むだけで痩せる」——ECサイトやモールの商品ページでこうした表現を使うと、薬機法違反として行政指導や課徴金の対象になる可能性があります。健康食品・化粧品・サプリメント・美容機器などを扱うEC事業者にとって、薬機法は特定商取引法や景品表示法と並んで必ず押さえるべき法律です。本記事では、薬機法の基本、違反した場合の罰則と最新動向、商品ジャンル別のNG表現と言い換えのポイント、そして今日から使える実務チェックリストをわかりやすく解説します。

薬機法とは?ECの広告表現が規制される仕組み

薬機法とは?ECの広告が規制される仕組み

薬機法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)は、医薬品・医薬部外品・化粧品・医療機器・再生医療等製品の品質と安全性を確保するための法律です。旧薬事法が2014年に改正・改称されたもので、広告規制の観点では「虚偽・誇大広告の禁止(第66条)」「未承認医薬品等の広告の禁止(第68条)」が特に重要です。

EC事業者が注意すべきポイントは大きく2つあります。

第一に、規制対象が「何人も(なんぴとも)」とされている点です。メーカーや広告主だけでなく、モール出店者、広告代理店、アフィリエイター、投稿を依頼されたインフルエンサーまで、広告に関与するすべての人が対象になります。「メーカーから支給された文言をそのまま掲載しただけ」でも、販売ページの管理者である店舗側の責任は免れません。

また、薬機法の広告規制と関係が深い商品カテゴリは次のとおりです。自社の取扱商品がどこに当てはまるかをまず確認しましょう。

  • 医薬品・医薬部外品:承認された効能効果の範囲内でのみ広告可能。
  • 化粧品:届出制だが、訴求できる効能効果の範囲が定められている。
  • 健康食品・サプリメント:法律上は「食品」。医薬品的な効能効果を謳うと未承認医薬品広告になる。
  • 美容・健康雑貨:医療機器として承認されていない限り、身体への効果は訴求できない。

第二に、「広告」の範囲が広い点です。行政解釈では(1)顧客を誘引する意図が明確であること、(2)特定の商品名が明らかにされていること、(3)一般人が認知できる状態であること、の3要件を満たすものが広告とされます。商品詳細ページはもちろん、メルマガ、SNS投稿、LP、レビューへの返信文言まで広告に該当し得ます。EC化率が年々上昇し(経済産業省の電子商取引に関する市場調査によると、2024年の物販系BtoC-EC市場規模は15兆2,194億円・EC化率9.78%)、ネット上の広告表現への行政の監視も強まっています。

課徴金4.5%も。薬機法違反の罰則と最新動向

薬機法違反の罰則と最新動向

「知らなかった」では済まないのが広告規制の怖さです。薬機法違反の広告に対しては、違反の内容や悪質性に応じて、段階的に次のような措置があります。自社がどの段階のリスクを抱えているかをイメージしながら確認してください。

  • 行政指導:都道府県の薬務課などからの改善指導。最も件数が多い対応です。
  • 措置命令:違反広告の中止・再発防止などを命じる行政処分。2025年11月には家庭用電位治療器の誇大広告(承認範囲を超えた「糖尿病・高血圧等が改善する」等の説明)に対し、薬機法では初となる措置命令が出されました。
  • 課徴金納付命令:2021年8月施行の改正薬機法で導入された制度で、虚偽・誇大広告(第66条第1項違反)を行った場合、対象商品の売上額の4.5%が課徴金として課されます。対象期間は最大3年間まで遡るため、年商1億円の商品なら最大1,350万円という規模になり得ます。
  • 刑事罰:悪質な場合は2年以下の懲役もしくは200万円以下の罰金(またはその両方)。2020年には健康食品の広告表現をめぐって販売会社と広告代理店の担当者が逮捕された事例(ステラ漢方事件)もあり、「広告を作った側」も摘発対象になることが示されました。

課徴金制度には運用上のポイントもあります。課徴金額が225万円未満(対象売上高5,000万円未満)の場合は納付命令の対象外とされますが、これは「小規模なら安心」という意味ではなく、措置命令や行政指導、モール側の出品停止措置は売上規模に関係なく行われます。また、景品表示法の課徴金(売上額の3%)と重複する場合の調整規定もあり、虚偽・誇大広告は複数の法律から同時に問われ得る点に注意が必要です。

また2025年5月には改正薬機法が成立・公布され、同年11月以降に段階的に施行されています。規制環境は毎年動いているため、「昔からこの表現で売っているから大丈夫」という判断は通用しないと考えるべきです。

商品ジャンル別・NG表現と言い換えのポイント

商品ジャンル別・NG表現と言い換えのポイント

ECでよく扱われるジャンルごとに、典型的なNG表現と言い換えの考え方を整理します。

前提として押さえたいのは、「効能効果を暗示する表現」もNGになるという点です。直接「治る」と書かなくても、症状のイラスト、体験談、「医師監修」の強調、ビフォーアフター写真などの組み合わせで全体として効能を暗示すれば、虚偽・誇大広告と判断され得ます。文言単位の置き換えだけでなく、ページ全体の印象で判断する視点を持ちましょう。

健康食品・サプリメント

健康食品は「食品」であり、医薬品的な効能効果を標榜した時点で未承認医薬品の広告とみなされます。「糖尿病に効く」「脂肪を燃焼させる」「免疫力を高める」はNGです。言い換えの方向性としては、「毎日の健康維持をサポートする」「栄養バランスが気になる方に」など、身体の変化を断定しない表現に留めます。機能性表示食品・特定保健用食品であれば、届け出た(許可された)機能の範囲内でのみ表示が可能です。

化粧品

化粧品は「肌にうるおいを与える」「肌を整える」など、行政が定めた56項目の効能効果の範囲内でしか訴求できません。「シミが消える」「シワがなくなる」「肌が若返る」はNGです。「メイクアップ効果によりシミをカバーする」「乾燥による小ジワを目立たなくする(効能評価試験済みの場合)」のように、認められた範囲・条件つきの表現に置き換えます。

雑貨・美容機器

医療機器として承認されていない美顔ローラーや磁気アクセサリーなどで「血行促進」「痩身効果」「肩こり解消」を謳うと、未承認医療機器の広告に該当するおそれがあります。身体への効果ではなく、使用感や設計上の特長(「心地よい使用感」「フィットする形状」)を訴求するのが基本です。

EC事業者のための薬機法実務チェックリスト

EC事業者のための薬機法実務チェックリスト

薬機法対応で難しいのは、「一度チェックすれば終わり」ではない点です。商品ページは日々更新され、セールバナーやメルマガ、SNS投稿など表現の露出先も増え続けます。担当者の異動で知見が失われ、いつの間にかNG表現が復活していた、というケースも珍しくありません。日々の運営に組み込みやすいよう、実務でのチェックポイントをまとめます。

  • 商品登録前の表現チェックフローを作る:商品名・キャッチコピー・商品説明・画像内テキストの4点を、公開前に必ず第三者(別の担当者)が確認する体制にする。
  • 画像・動画内の文字も対象:テキストだけでなく、バナーやサムネイル画像に埋め込んだ「実感」「効果」などの文言も広告表現として扱う。
  • ビフォーアフター表現に注意:使用前後の比較写真は、効能効果を保証する印象を与えるため原則避ける。
  • レビュー・UGCの扱い:購入者レビューに医薬品的な効能(「花粉症が治った」等)が書かれていても、それを店舗側が抜粋してバナーや商品ページに転載すると店舗の広告表現になる。
  • アフィリエイト・インフルエンサー投稿の管理:依頼して投稿された内容は広告。ステマ規制(景品表示法)とあわせて、表現ガイドラインを提供・チェックする。
  • 薬機法×景表法×特商法の三点確認:効能効果は薬機法、「No.1」「最安値」などの優良・有利誤認は景品表示法、価格・返品条件の表示は特定商取引法と、それぞれ確認観点を分けてチェックする。
  • 定期的な表現パトロール:既存ページも半年に一度は棚卸しし、規制動向の変化に合わせて見直す。

よくある誤解Q&A

Q. 「個人の感想です」と注記すれば体験談を載せてもよい?
A. 注記があっても、体験談全体として効能効果を保証する印象を与えれば違反と判断され得ます。打ち消し表示は免罪符にはなりません。

Q. モールの出品審査を通過したから問題ない?
A. モールの審査はあくまで各社の規約チェックであり、行政の適法性のお墨付きではありません。審査通過後に行政指導を受ける事例もあります。

Q. 成分の説明なら効能を書いてもよい?
A. 「この成分には〇〇効果がある」という成分軸の記載でも、商品ページ上に書けば商品の効能訴求とみなされるのが原則です。

まとめ:広告表現は「攻め」と「守り」の両輪で設計する

まとめ:広告表現は攻めと守りの両輪で設計する

本記事のポイントを振り返ります。薬機法は医薬品や化粧品だけでなく、健康食品や美容雑貨を扱うすべてのEC事業者に関わる法律であり、規制対象は広告に関与する「何人も」に及びます。違反時には行政指導から措置命令、売上の4.5%の課徴金、刑事罰までの段階的な措置があり、2025年には初の措置命令が出るなど執行は年々厳格化しています。

薬機法対応は「売れる表現を削られる守りの業務」と捉えられがちですが、実際には逆です。行政処分や課徴金、モールからの出品停止といったリスクを避けながら、認められた範囲で最大限魅力を伝える表現を設計することは、長く売り続けるための攻めの施策でもあります。競合がNG表現で一時的に売上を伸ばしても、措置命令や課徴金の事例が積み上がっている現在、コンプライアンスを守った店舗が最終的に選ばれます。

Semuis株式会社では、ECモールの商品ページ制作・広告運用の支援において、法規制を踏まえた表現設計までを含めたサポートを行っています。「この表現は大丈夫か判断がつかない」「商品ページを作り直したいが工数がない」という方は、お気軽にお問い合わせください。

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