The Model(ザ・モデル)とは?4つの分業プロセスとKPI設計・導入手順をわかりやすく解説
2026.07.25
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BtoBの営業組織づくりを調べると、必ず出てくるのが「The Model(ザ・モデル)」という言葉です。マーケティングから受注後のフォローまでを分業し、部門間で数値を引き継ぎながら顧客を育てていくこの営業プロセスモデルは、SaaS企業を中心に広く採用され、いまやBtoB営業組織の共通言語になっています。本記事では、The Modelの基本概念、4つのプロセスとそれぞれの役割、KPI設計の考え方、導入手順と注意点までをわかりやすく解説します。
The Model(ザ・モデル)とは?営業プロセスを分業する組織モデル

The Model(ザ・モデル)とは、営業プロセスを「マーケティング」「インサイドセールス」「フィールドセールス(外勤営業)」「カスタマーサクセス」の4つの機能に分業し、各部門が数値目標を持って連携する営業組織モデルです。米Salesforce社が自社の成長過程で実践してきたプロセスが原型となり、日本では同社日本法人の元専務執行役員・福田康隆氏の著書『THE MODEL』(2019年)をきっかけに広く知られるようになりました。
従来の日本企業の営業は、1人の営業担当者がリード獲得からアポイント、商談、クロージング、アフターフォローまでを一気通貫で担う「属人型」が主流でした。しかしこの体制では、成果が個人の力量に依存し、どの工程がボトルネックなのかも見えません。さらに、Salesforceの年次調査「State of Sales(セールス最新事情)」第5版では、営業担当者が実際の販売活動に使えている時間は勤務時間のわずか28%に過ぎないという結果も報告されています。資料作成や事務作業に追われ、本来の「売る仕事」に集中できていないのが実態です。
The Modelは、プロセスを分業して各工程を専門化することで、この非効率を解消します。誰が・どの工程で・どれだけの成果を出しているかが数値で見えるため、組織的な改善が可能になるのです。
The Modelを構成する4つのプロセスと役割分担

The Modelでは、顧客の検討段階に沿って4つの部門がリレー形式で顧客を引き継ぎます。
(1)マーケティング:広告、SEO、ウェビナー、展示会などを通じて見込み客(リード)を獲得し、メルマガやコンテンツ提供で購買意欲を高めます(リードナーチャリング)。成果指標はリード獲得数や有効リード(MQL)数です。単なる名刺情報の件数ではなく、「後工程で商談につながるリードをどれだけ供給できたか」で評価される点がポイントです。
(2)インサイドセールス:マーケティングから引き継いだリードに電話やメール、オンライン面談でアプローチし、課題やニーズ、導入時期、予算をヒアリングして、商談化の見込みが高いリードを選別します。成果指標は商談化数(SQL数)や商談化率です。すぐに商談化しないリードも、中長期のフォロー対象として関係を維持する役割を担います。
(3)フィールドセールス:インサイドセールスが創出した商談を引き継ぎ、提案・デモ・見積もり・交渉を経て受注に導きます。成果指標は受注数・受注率・受注金額です。
(4)カスタマーサクセス:受注後の顧客の活用支援を行い、解約を防ぎ、アップセル・クロスセルにつなげます。成果指標は継続率(解約率)やLTV、アップセル金額です。サブスクリプション型ビジネスでは「売って終わり」ではなく「使い続けてもらう」ことが収益の生命線であり、The Modelがカスタマーサクセスを独立部門として置く理由もここにあります。
重要なのは、各部門の成果指標が「前工程の母数×転換率」でつながっていることです。この構造があるからこそ、どの工程で数値が落ちているかを特定し、的確な打ち手を講じられます。なお近年は、この4部門を統括して収益全体の最大化を図る「レベニュー組織(レベニューオペレーション)」という考え方も広がっており、The Modelはその土台となるフレームワークとして位置づけられています。
The ModelのKPI設計:数値の連鎖で営業活動を見える化する

The Modelの本質は「分業」そのものではなく、プロセス全体を数値の連鎖として管理することにあります。基本の計算式は次のとおりです。
受注数 = リード数 × 商談化率 × 受注率。たとえば月間受注10件が目標で、商談化率20%・受注率25%が実績値なら、必要な商談数は40件、必要なリード数は200件と逆算できます。この逆算により、マーケティングは「月200リード」、インサイドセールスは「月40商談」、フィールドセールスは「受注率25%の維持・向上」という明確な数値責任を持てるようになります。
KPI設計で押さえるべきポイントは3つあります。1つ目は、部門間の「引き継ぎ定義」を明文化することです。「MQL(マーケティングが有効と判断したリード)」「SQL(営業に引き継ぐべき商談)」の基準が曖昧だと、質の低いリードの押し付け合いが起き、部門間の対立を生みます。BANT情報(予算・決裁権・ニーズ・導入時期)など、引き継ぎ条件を具体的に定めましょう。
2つ目は、転換率をボトルネック発見に使うことです。リードは足りているのに商談化率が低いならナーチャリングやトークスクリプトに、商談化率は高いのに受注率が低いなら提案品質やターゲット選定に課題があると推定できます。
3つ目は、SFA/CRMツールで数値を一元管理することです。部門ごとにExcelで管理していては、数値の連鎖が分断されます。SalesforceやHubSpotなどのツールで、リードから受注・継続までを1つのデータベースで追える状態を作ることが、The Model運用の土台になります。そのうえで、リード数・商談化率・受注率・解約率を1枚のダッシュボードにまとめ、週次の定例会議で全部門が同じ数値を見ながら議論する運用にすると、数値管理が形骸化しません。
The Model導入の5ステップとよくある失敗

The Modelは大企業だけのものではありません。中小企業でも、段階的に導入できます。むしろ、営業担当者が数名しかいない組織こそ、「誰が何に時間を使うか」を設計し直す効果は大きくなります。次の5ステップで進めましょう。
ステップ1:現状の営業プロセスを可視化する。リード獲得から受注までの流れを書き出し、各工程の件数と転換率を把握します。この時点で「そもそもリード数を記録していない」「商談の定義が人によって違う」といった課題が見つかることも多く、それ自体が大きな収穫になります。
ステップ2:プロセスの区切りと引き継ぎ基準を定義する。MQL・SQLの定義、引き継ぎ時に必須のヒアリング項目を決めます。
ステップ3:体制を整える。最初から4部門を作る必要はありません。少人数の組織では「マーケ兼インサイドセールス」と「フィールドセールス兼カスタマーサクセス」の2チーム制から始め、成長に応じて分割するのが現実的です。
ステップ4:ツールを導入し数値を一元管理する。SFA/CRMにプロセスと数値を載せ、週次で転換率をレビューする会議体を設けます。
ステップ5:部門横断で改善サイクルを回す。転換率の低い工程に対し、部門をまたいだ改善策(リードの質の見直し、トーク改善、提案資料の刷新など)を実行します。
また、The Modelをそのまま導入すれば成果が出るわけではない点にも注意が必要です。The Modelはもともと、リード件数が多く、商品がある程度標準化されたSaaSビジネスを前提に設計されたモデルです。月間リード数が少ない事業や、個別カスタマイズ中心の受託型ビジネスでは、分業のオーバーヘッドが効率を上回ることがあります。その場合は「インサイドセールス機能だけ先に立ち上げる」「カスタマーサクセスの考え方だけ既存営業に取り入れる」など、自社の商材・リード量に合わせた部分導入から始めるのが現実的です。
よくある失敗は、分業だけして連携の仕組みを作らないことです。部門間の定例ミーティングがなく、フィードバックが流れない組織では、「マーケのリードが悪い」「営業が追客しない」といった対立が生まれます。The Modelは分業モデルであると同時に「連携モデル」であること、そして各部門の目標が最終的には全社の受注・売上目標につながっていることを、組織全体で共有することが成功の条件です。
まとめ:The Modelは「数値で改善できる営業組織」への第一歩
The Modelは、営業プロセスをマーケティング・インサイドセールス・フィールドセールス・カスタマーサクセスの4機能に分業し、数値の連鎖で管理する営業組織モデルです。属人的な営業から脱却し、ボトルネックを特定して組織的に改善できる体制は、人手不足が続くいまのBtoB企業にとって大きな武器になります。まずは自社の営業プロセスの可視化と、転換率の把握から始めてみてください。完璧な分業体制を最初から目指す必要はなく、「数値で語れる営業組織」に一歩ずつ近づけていくことが、結果的に最短の道になります。
Semuis株式会社では、BtoB企業のリード獲得からナーチャリング、営業プロセスの設計まで、マーケティングと営業の仕組みづくりをご支援しています。「リードはあるのに商談につながらない」「営業組織を仕組み化したい」とお考えの方は、ぜひお問い合わせフォームからお気軽にご相談ください。

Semuis株式会社 代表取締役。BtoBマーケティング・セールス支援、ECコンサルティング、BPO、リスキリング事業を展開。まだ世に広まっていない優良企業の発掘と、挑戦欲の高い個人の成長に貢献することにコミット。趣味はブラジル音楽と筋トレ、読書など。note→ https://note.com/yamakami_semuis
