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ステマ規制とは?EC事業者が知るべき最新違反事例と実務チェックリストを解説

2026.08.02

  • Webマーケティング

「インフルエンサーに商品を送ってSNSで紹介してもらった」「レビューを書いてくれたお客様にクーポンを配った」——EC運営の現場でよくあるこれらの施策、実は景品表示法の「ステマ規制」に違反しているおそれがあります。2023年10月に施行されたステマ規制は、施行から2年余りで措置命令が相次ぎ、大手企業も次々と処分を受けています。行政処分を受ければ、社名・商品名が消費者庁のWebサイトで公表され、ブランドへのダメージは計り知れません。

本記事では、ステマ規制の基本的な仕組みから、最新の措置命令事例、ECで違反になりやすい施策のパターン、そして今日から使える実務チェックリストまでをわかりやすく解説します。レビュー施策・SNS施策を行うすべてのEC事業者にとって必須の知識です。

ステマ規制とは?景品表示法「ステマ告示」の基本

ステマ規制(景品表示法)の基本

ステマ規制とは、2023年10月1日に施行された、ステルスマーケティングを景品表示法の不当表示として禁止する規制です。正式には「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」(いわゆるステマ告示)と呼ばれ、これにより日本でも広告であることを隠した宣伝行為が法律で明確に禁止されました。

違反になるかどうかは、大きく2つの要件で判断されます。1つ目は「事業者の表示であること」。事業者が自ら行う投稿だけでなく、事業者が第三者に依頼・指示をして行わせた投稿も含まれます。報酬の支払いがなくても、商品の無償提供や割引などの経済的利益と引き換えに投稿を促した場合は「事業者の表示」と判断され得ます。2つ目は「一般消費者が事業者の表示であることを判別困難であること」。つまり、広告であるにもかかわらず「PR」「広告」「プロモーション」などの表記がなく、第三者の自主的な感想のように見える表示が違反となります。

重要なのは、規制対象が「広告主である事業者」だという点です。投稿したインフルエンサーやレビュアー個人は処罰されず、措置命令を受けるのは依頼した事業者側です。「投稿したのは第三者だから関係ない」とい言い訳は通用しません。違反すると消費者庁から措置命令(再発防止策の実施・周知徹底など)が出され、事業者名が公表されます。措置命令に従わない場合は2年以下の懲役または300万円以下の罰金等の対象にもなります。

また、規制対象となる「表示」の範囲は広く、SNS投稿やインフルエンサーのPR案件だけでなく、ECサイト・モールのレビュー、Googleマップなどの口コミ、アフィリエイトサイトの記事、比較・ランキングサイトへの掲載も含まれます。事業者が表示内容の決定に関与していれば媒体を問わず対象になると考えておくべきです。一方で、事業者が依頼していない純粋な第三者の自主的な投稿や、テレビCM・バナー広告のように誰が見ても広告と分かる表示は規制対象外です。

措置命令の最新事例——大手企業も相次ぎ処分

ステマ規制の措置命令の最新事例

ステマ規制は「施行されたものの実際の処分は少ないのでは」と見られていた時期もありましたが、現在は執行が本格化しています。施行から2年間で措置命令は6件、より軽い是正手続きである確約手続も3件と、処分事例が着実に積み上がっています。

事例1:医療機関のGoogleマップ口コミ(2024年6月)。ステマ規制初の措置命令は、患者にGoogleマップへの高評価口コミ投稿を依頼し、見返りに治療費の割引などを提供していた医療機関に対するものでした。「星の数」や口コミも規制対象になることが明確になった事例です。

事例2:大正製薬(2024年11月)。インフルエンサーに報酬を支払ってSNSに商品紹介を投稿してもらい、その投稿を自社Webサイトに転載した際に「PR」表記を行わなかったことがステマと認定されました。SNS上では適切に表示されていても、転載時に表記が落ちれば違反になるという、EC事業者にとって示唆の大きい事例です。

事例3:ロート製薬(2025年3月)。機能性表示食品のモニターに指定の画像・文言でのInstagram投稿を依頼し、Instagram上では「PR」と明記されていたものの、自社サイト上の表示では広告である旨が示されていなかったとして措置命令を受けました。

事例4:健康食品会社への処分(2026年6月)。サプリメント販売会社がSNS投稿を依頼した事実を隠していたとして措置命令を受け、健康食品分野では3例目となりました。処分は化粧品・健康食品・医療といった口コミの影響が大きい業界に集中しており、EC・D2C事業者はまさに執行の重点領域にいると言えます。

ECで「うっかり違反」になりやすい施策パターン

ECでNGになりやすい施策

ステマ規制違反は、悪意のある「やらせ」だけでなく、日常的なEC施策の延長で起きるのが怖いところです。特に注意すべきパターンを整理します。

①報酬・特典と引き換えのレビュー依頼。「レビューを書いてくれたら次回使えるクーポンをプレゼント」「星5レビューで割引」といった施策は、経済的利益と引き換えに投稿を促すため違反リスクが高い典型例です。特に評価内容を指定する依頼は極めて危険です。なお、Amazonや楽天市場などの各モールは法規制とは別に、対価を伴うレビュー依頼自体を規約で禁止しており、違反すればアカウント停止・レビュー削除のリスクもあります。

②インフルエンサー投稿の「PR」表記漏れと転載。ギフティング(商品の無償提供)でも、投稿を依頼した以上は広告表記が必要になり得ます。さらに大正製薬・ロート製薬の事例のとおり、SNSでは正しく表記されていても、自社サイトや商品ページにUGCとして転載した時点で表記が消えていれば違反です。

③従業員・家族・関係者によるレビュー。自社の従業員やその家族が、関係性を明かさずに自社商品に高評価レビューを投稿するのも「事業者の表示」に該当し得ます。会社からの指示がなくても、実態として事業者が関与したと認定されれば対象になります。

④口コミ代行・レビュー買取サービスの利用。「レビュー〇件で△万円」のような代行サービスの利用は、ほぼ確実にステマ告示違反かつモール規約違反です。安易に利用しないことはもちろん、営業を受けても断る社内ルールを徵底しましょう。実際、ステマ規制の施行前後から口コミ代行業者への監視は強まっており、依頼した事業者側が処分・公表されるリスクは年々高まっています。

⑤アフィリエイト記事の管理不足。アフィリエイター経由の紹介記事も、事業者が表示内容の決定に関与していると判断されれば規制対象になり得ます。成果報酬で記事を書いてもらっている場合は、広告である旨の表記があるか、過度な体験談・効果の断定がないかを広告主側が管理する必要があります。

違反しないための実務チェックリスト

ステマ規制違反を防ぐ実務チェックリスト

ステマ規制対応は「知識」で終わらせず「仕組み」に落とし込むことが重要です。以下のチェックリストを自社の運用に照らして確認してください。

まず前提として、「PR」表記は「入れればよい」のではなく「一般消費者が認識できる形で入れる」ことが求められます。消費者庁の運用基準では、大量のハッシュタグの中に「#PR」を埋もれさせる、動画の一瞬だけ表示する、文末の見えにくい位置に小さく書くといった方法は、表示があっても判別困難と判断され得るとされています。投稿の冒頭など目立つ位置に、明瞭に表示するのが原則です。そのうえで、以下を定期的にチェックしましょう。

【依頼時】□ インフルエンサー・モニターへの依頼時に、「PR」「広告」等の表記を投稿に含めることを契約書・依頼文面に明記しているか。□ レビュー依頼はあくまで「任意の感想」を求める形にとどめ、報酬・特典と投稿を交換条件にしていないか。□ 評価内容(星の数・文言)の指定をしていないか。

【公開時】□ 投稿に「PR」等の表記が実際に入っているか公開後に確認しているか。□ ハッシュタグの中に埋もれるなど、消費者が認識しにくい表示になっていないか。

【転載・二次利用時】□ SNS投稿やレビューを自社サイト・商品ページ・広告クリエイティブに転載する際、広告である旨の表記を維持するルールがあるか。□ 過去に転載したコンテンツを遡って点検したか。

【体制】□ ステマ規制を含む景品表示法の管理担当者を決め、施策開始前に法務チェックを通すフローがあるか。□ 広告代理店・運用代行会社任せにせず、最終責任は広告主である自社が負うことを関係者が理解しているか。

2024年11月には景品表示法の改正で確約手続が導入されるなど、執行の枠組みも変化し続けています。定期的に消費者庁の公表資料を確認し、運用ルールをアップデートしましょう。

なお、代理店やインフルエンサー事務所を経由した施策では、「表記の責任範囲」が曖昧になりがちです。実際の処分事例でも、広告主が投稿内容を細部まで把握していなかったケースが見られます。発注フローの中に「公開前の表記確認」と「公開後のスクリーンショット保存」を組み込み、証䷡を残す運用にしておくと、万一調査を受けた際にも適切に対応できます。

まとめ:レビュー・UGC施策は「法令順守」が大前提の時代へ

ステマ規制まとめ

ステマ規制は施行から2年で執行フェーズに入り、大手企業への措置命令が続いています。レビューやSNS投稿はECの売上を左右する重要な資産だからこそ、「広告であることを隠さない」という原則を仕組みで担保することが、結果的にブランドと売上を守ります。処分事例はいずれも「現場のよくある施策」の延長で起きており、どのEC事業者にとっても他人事ではありません。

Semuis株式会社では、モール規約・広告規制を踏まえたレビュー施策・販促施策の設計を含め、EC運営を総合的に支援しています。「自社の施策がステマ規制に触れていないか不安」という方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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