ROAS(広告費用対効果)とは?計算方法とKPI設定・改善の考え方
2026.07.03
- ECモール
- 未分類
楽天市場で広告を運用していると、必ず向き合うことになるのがROASという指標です。「広告にかけたお金が、ちゃんと売上として返ってきているのか」を測るためのものさしで、広告の良し悪しを判断する基本となります。この記事では、ROASとは何か、その計算方法や目標値の考え方、ROISやCPAなど似た指標との違いまでを、はじめての方にもわかりやすく解説します。
ROASとは?
ROAS(広告費用対効果)とは、広告にかけた費用に対して、その広告からどれだけの売上が得られたかを示す指標です。「ROAS」はReturn On Advertising Spendの略で、日本語では「広告費用対効果」と呼ばれます。一般的にパーセント(%)で表され、数値が高いほど広告が効率的に売上を生み出していることを意味します。
たとえばROASが500%であれば、広告費1円につき5円の売上が生まれているということです。楽天市場のRPP広告やクーポンアドバンス広告など、運用型広告の成果を評価する際の中心的な指標として使われます。広告を出すかどうか、どの商品に予算を寄せるかを判断するうえで、ROASは欠かせない数字です。
広告運用では、CPC(クリック単価)やCTR(クリック率)、CVR(転換率)といったさまざまな指標を扱いますが、それらはいわば「過程」を表す数字です。これに対してROASは、広告にかけたお金がどれだけ売上として返ってきたかという「結果」を表します。途中の指標がどれだけ良くても、最終的にROASが伴っていなければ、その広告は売上の面では効率的とはいえません。だからこそ、ROASは広告全体の成果を総合的に判断する、いわば通知表のような役割を担っています。複数の広告メニューを同じものさしで比較できる点も、ROASが重宝される理由です。
ROASの計算方法と見方
基本の計算式
ROASは「広告経由の売上 ÷ 広告費 × 100」で計算します。たとえば、広告費に5万円をかけて、その広告経由で25万円の売上が出た場合、25万円 ÷ 5万円 × 100 = 500%となります。計算自体はシンプルなので、売上と広告費の数字さえ把握できれば、すぐに算出できます。
ROASは利益とは別物
注意したいのは、ROASはあくまで「売上」を基準にした指標であり、利益を表すものではないという点です。ROASが高くても、商品の原価や送料、手数料などのコストが大きければ、手元に残る利益は少なくなることがあります。広告の効率を見るうえでは便利な指標ですが、最終的な判断は利益も合わせて考える必要があります。たとえば、原価率が高く利益の薄い商品では、ROASが500%あっても実際にはほとんど利益が残らない、ということも起こり得ます。逆に利益率の高い商品なら、ROASが低めでも十分に利益を確保できます。ROASの数字だけを追いかけるのではなく、その背景にある利益構造を意識することが大切です。
損益分岐点となるROASを把握する
広告で赤字にならないためには、「最低でもどのくらいのROASが必要か」という損益分岐点を知っておくことが大切です。これは商品の利益率によって変わります。利益率が高い商品ほど低いROASでも採算が取れ、利益率が低い商品は高いROASが求められます。自社の商品ごとに、採算ラインとなるROASをあらかじめ計算しておくと、目標設定がしやすくなります。損益分岐点となるROASは、「100 ÷ 利益率(%)× 100」で求められます。利益率が20%なら損益分岐点ROASは500%、利益率が40%なら250%が目安です。この数字を上回っていれば広告費を回収できていると判断でき、下回っていれば見直しが必要、という基準として使えます。
目標ROASとして「利益が残る水準」を設定する
損益分岐点はあくまで「赤字にならないライン」であり、実際の目標はそれより高く設定するのが基本です。広告は利益を出すために行うものですから、損益分岐点ぴったりを狙っていては手元に利益が残りません。たとえば損益分岐点ROASが300%なら、目標は400%や500%といった具合に余裕を持たせます。どの程度の余裕を持たせるかは、店舗として新規顧客の獲得を優先するか、目先の利益を確保するかといった方針によっても変わります。新規顧客には継続購入による将来の売上(LTV)も見込めるため、初回は損益分岐点に近い水準を許容するという考え方もあります。
楽天市場での活用ポイント・具体例
楽天市場で広告を運用する際は、商品ごと・キャンペーンごとにROASを確認し、成果の良いものに予算を寄せていくのが基本です。たとえば、A商品のROASが600%、B商品が200%だった場合、同じ予算ならA商品に重点的に配信したほうが効率よく売上を伸ばせます。
具体例を見てみましょう。利益率が30%の商品を売っているとします。この場合、広告費を回収できる損益分岐点のROASは約333%です(100 ÷ 30 × 100)。仮に実際のROASが500%であれば、損益分岐点を上回っているため利益が出ている状態だと判断できます。一方、ROASが300%であれば採算ラインを下回っているため、単価の見直しや商品ページの改善、配信停止などの対応が必要になります。数字で言い換えると、利益率30%の商品を広告費10万円かけて販売し、売上が30万円(ROAS300%)だった場合、売上から見込める粗利は9万円なので、広告費10万円を引くと1万円の赤字です。同じ広告費で売上が50万円(ROAS500%)なら、粗利15万円から広告費10万円を引いて5万円の利益が残ります。このように、ROASと利益率をセットで見ると、最終的に手元にいくら残るのかまで把握できます。
また、ROASは短期間の数字だけで判断しないことも大切です。新商品はレビューが増えるにつれて売れやすくなることもあるため、一定期間データを蓄積したうえで評価しましょう。お買い物マラソンなどのイベント時期はROASが変動しやすいので、平常時とイベント時を分けて見るのもおすすめです。
さらに、ROASを改善する方法は「広告費を抑える」だけではありません。分子である売上を増やすアプローチも有効です。具体的には、商品ページを改善してCVR(転換率)を高めたり、関連商品をまとめ買いしてもらって客単価を上げたりすることで、同じ広告費でも売上が伸び、結果としてROASが向上します。ROASが低いときに、すぐ広告を止めてしまうのではなく、まず商品ページや訴求を見直すことで改善できるケースは少なくありません。広告の数字だけでなく、店舗全体の販売力を底上げする視点を持つことが、安定したROASにつながります。
メリットと注意点
- メリット:広告の効率を一目で把握でき、予算配分の判断がしやすくなります。
- メリット:計算式がシンプルで、売上と広告費があればすぐに算出できます。
- メリット:商品やキャンペーンごとに比較でき、成果の良い施策に絞り込めます。
- 注意点:ROASは売上ベースの指標で、利益を直接表すものではありません。
- 注意点:利益率を考慮しないと、ROASが高くても赤字になっているケースを見落とします。
- 注意点:短期の数値だけで判断すると、後から売上が伸びる商品を見誤ることがあります。
よくある質問
Q. ROASの目標値はどのくらいに設定すればよいですか?
A. 一律の正解はなく、商品の利益率によって変わります。まずは損益分岐点となるROASを計算し、それを上回る水準を目標にするのが基本です。利益を確保したいなら、損益分岐点に余裕を持たせた目標を設定しましょう。
Q. ROASとROIの違いは何ですか?
A. ROASは「売上 ÷ 広告費」で広告の売上効率を見る指標です。一方ROI(投資利益率)は「利益 ÷ 投資額」で、利益を基準にした指標です。ROASは売上、ROIは利益に着目している点が大きな違いです。広告効率を素早く見るならROAS、最終的な収益性を見るならROIが向いています。
Q. ROASが高いのに利益が増えないのはなぜですか?
A. 原価や送料、各種手数料といった広告費以外のコストが大きい可能性があります。ROASは広告費だけを基準にしているため、それ以外のコストが利益を圧迫していると、ROASが高くても手元に利益が残りません。コスト全体を見直してみましょう。
まとめ
ROAS(広告費用対効果)は、広告費に対してどれだけの売上が得られたかを示す指標で、「広告経由の売上 ÷ 広告費 × 100」で計算します。広告の効率を素早く把握できる便利なものさしですが、あくまで売上ベースであり、利益を表すものではない点には注意が必要です。商品の利益率から損益分岐点となるROASを把握し、それを上回る水準を目標に運用することで、広告を利益につなげやすくなります。商品ごとにROASを比較し、成果の良いものへ予算を寄せていくところから始めてみてください。
楽天市場の運用や広告でお困りの際は、お気軽にご相談ください。

Semuis株式会社 代表取締役CEO。2009年新卒でインナーブラディング支援会社に入社。以後、BtoBとBtoCスタートアップ〜上場企業まで50社以上のマーケティング、セールス支援に関わる。2020年、自分の人生は残り1万日しかないと悟り、2023年にSemuis株式会社設立。まだ世に広まっていない優良企業の発掘・発展と、挑戦欲の高い個人の成長に貢献することにコミット。趣味はブラジル音楽と筋トレ。
