楽天市場の「Rakuten AI」とは?AIコンシェルジュの仕組みと店舗が今やるべき対策を解説
2026.09.18
- 楽天市場
2026年1月、楽天市場のスマートフォンアプリにエージェント型AI「Rakuten AI」が搭載され、AIコンシェルジュとの対話で商品を探すという新しい買い物体験が始まりました。ユーザーの探し方が「検索窓にキーワードを入れる」から「AIに相談する」へと広がるなか、店舗側には商品情報の作り方を見直す必要が生まれています。本記事では、Rakuten AIの概要と主な機能、店舗運営への影響、そして今からできる具体的な対策を解説します。
Rakuten AIとは?楽天市場アプリに搭載されたエージェント型AI

Rakuten AIとは、楽天グループが提供するエージェント型のAIツールで、2026年1月5日から楽天市場のスマートフォンアプリ(iOS・Android)に搭載されました。アプリのホーム画面にあるアイコンから起動でき、ユーザーは予算・購入目的・利用シーンなどをテキスト・音声・画像で伝えると、約5億点といわれる楽天市場の膨大な商品群のなかからAIが条件に合う商品を提案してくれます。
従来のキーワード検索が「欲しい商品名がわかっている人」向けだったのに対し、Rakuten AIは「何を買えばいいかまだ決まっていない人」の相談相手になる点が特徴です。たとえば「1万円以内で、60代の母への誕生日プレゼント」「梅雨の時期の部屋干し対策になる家電」といった曖昧な相談から、対話を重ねて候補を絞り込んでいきます。
背景には、EC市場全体の拡大と購買行動の変化があります。経済産業省「令和6年度電子商取引に関する市場調査」(2025年8月公表)によれば、2024年の日本のBtoC-EC市場規模は26.1兆円(前年比5.1%増)、物販系分野は15兆2,194億円でEC化率は9.78%と拡大を続けています。商品数が増え続けるほど「探しきれない」というユーザーの課題は深刻になり、AIによる商品発見(ディスカバリー)支援の重要性が高まっているのです。
Rakuten AIの主な機能と買い物体験の変化

Rakuten AIの機能は随時アップデートされていますが、店舗運営者が押さえておきたいポイントは次の3つです。
1. 対話型の商品探索:ユーザーとの対話から要望を整理し、条件に合う商品を提案します。テキストだけでなく音声や画像でも相談でき、「この写真に似た雰囲気のワンピース」といった探し方も可能です。
2. セールイベントとの連携:2026年6月には「楽天スーパーSALE」の特集ページにRakuten AIのアイコンが設置され、セール対象商品の選定をAIがサポートする取り組みが始まりました。大型イベント時の「商品が多すぎて選べない」という課題に対し、AIが絞り込みを支援する流れは今後も強化されると見られます。
3. 比較・要約による意思決定支援:候補商品の特徴を整理して提示することで、ユーザーはレビューやスペックを一つずつ読み込まなくても比較検討を進められます。
ユーザーにとっては「探す時間の短縮」というメリットですが、店舗にとっては、検索結果一覧やランキング以外に「AIの提案枠」という新しい商品露出の入口が生まれたことを意味します。詳細な機能や対象範囲は変化が早いため、最新情報はRMSのお知らせや楽天の公式発表で確認してください。
店舗運営への影響:AI経由の露出と「AIO」という新しい発想

Rakuten AIの登場で注目されているのが「AIO(AI Optimization:AI最適化)」という考え方です。従来の楽天SEOが検索結果一覧での上位表示を狙うものだったのに対し、AIOはAIに自店舗の商品を正しく理解させ、提案候補に選ばれやすくするための取り組みを指します。
AIがユーザーへの提案を組み立てる際に手がかりにできるのは、商品名・キャッチコピー・商品説明文・商品属性(項目)・レビューといった、店舗が登録した商品データです。つまり、人間の目には伝わっても、データとして不完全な商品ページは、AIには内容を正確に把握されにくいということです。たとえば商品説明が画像内の文字だけで完結している、属性情報が未入力のまま、サイズや対応機種がテキストで記載されていない、といったページはAI時代には不利になり得ます。
また、Rakuten AI経由の流入を計測する仕組みは執筆時点で発展途上であり、店舗側でAI経由の売上を正確に切り分けることはまだ難しい状況です。だからこそ、特別な裏技を探すのではなく、商品データの品質を高めるという王道の対策が最も確実なAIOになります。この考え方は、Amazonの対話型AI検索を解説した「Amazon Rufus(ルーファス)とは?」で紹介したAI検索対策とも共通しています。
店舗が今やるべき5つの対策【チェックリスト付き】

Rakuten AI時代に向けて、店舗が今日から取り組める対策を5つにまとめました。
対策1:商品属性(項目・スペック)を完全に入力する。カラー・サイズ・素材・対応機種・容量などの属性情報は、AIが商品を構造的に理解するための最重要データです。RMSで未入力項目を洗い出し、全SKUで入力率100%を目指しましょう。
対策2:商品説明文を「用途・シーン」で書き直す。「誰が・いつ・どんな悩みを解決するために使うのか」をテキストで明記します。ユーザーがAIに相談する言葉(例:「部屋干しの生乾き臭対策」)と商品説明の言葉が重なるほど、提案候補に挙がりやすくなると考えられます。
対策3:画像内テキストの情報をHTML側にも記載する。訴求内容が画像だけに存在する状態を避け、重要な情報は必ずテキストでも持たせます。
対策4:レビューの獲得と返信運用を強化する。レビューは第三者による使用実感のデータであり、AIの要約・提案の材料になり得ます。フォローメールでのレビュー依頼や、低評価レビューへの丁寧な返信を仕組み化しましょう。
対策5:検索対策・広告と組み合わせて露出の総量を増やす。AIOは従来施策の置き換えではなく上乗せです。「楽天RPP広告の基本」で解説した検索連動型広告や、「生成AIのEC運営活用」で紹介した商品ページ改善の効率化と並行して進めることで、相乗効果が期待できます。
まとめ:AI時代の楽天運営は「商品情報の質」が武器になる

Rakuten AIは、楽天市場の買い物体験を「検索」から「相談」へと広げる大きな転換点です。店舗にとっては、商品データの質がそのまま露出機会を左右する時代が始まったといえます。属性情報の完全入力、用途がわかる説明文、レビュー運用という基本を着実に積み上げた店舗ほど、AI経由の新しい流入を取り込めるはずです。なお、Rakuten AIの機能や対象は今後も更新されるため、最新の仕様は楽天の公式発表・RMSのお知らせで必ず確認してください。
Semuis株式会社では、楽天市場をはじめとするECモールの運営支援・商品ページ改善・広告運用のご支援を行っています。「AI時代に向けて何から手を付けるべきか」といったご相談も歓迎です。お問い合わせフォームよりお気軽にご連絡ください。

Semuis株式会社 代表取締役。BtoBマーケティング・セールス支援、ECコンサルティング、BPO、リスキリング事業を展開。まだ世に広まっていない優良企業の発掘と、挑戦欲の高い個人の成長に貢献することにコミット。趣味はブラジル音楽と筋トレ、読書など。
