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NPS(ネットプロモータースコア)とは?BtoBでの測り方・質問設計・改善につなげる5ステップを解説

2026.08.10

  • Webマーケティング

「顧客満足度アンケートは取っているが、解約や更新の予測にはまったく役立っていない」——BtoB企業のマーケティング・カスタマーサクセス担当者からよく聞く悩みです。その解決策として世界中の企業が採用しているのが、NPS(ネットプロモータースコア)です。NPSは「顧客ロイヤルティ」を1つの数字で測る指標で、解約率や更新率、アップセルとの相関が強いことから、BtoB企業の経営指標としても定着しつつあります。本記事では、NPSの基本と計算方法、BtoBならではの測り方の工夫、調査設計の手順、そしてスコアを改善アクションにつなげる5ステップを解説します。

NPSとは?計算方法と顧客満足度との違い

NPSとは?計算方法と顧客満足度との違い

NPS(Net Promoter Score)は、「この商品・サービスを友人や同僚に薦める可能性はどのくらいありますか?」という質問に0〜10点の11段階で回答してもらい、顧客ロイヤルティ(愛着・信頼)を数値化する指標です。米国の経営コンサルタント、フレッド・ライクヘルド氏がベイン・アンド・カンパニーとともに開発し、2003年にハーバード・ビジネス・レビュー誌で発表して以来、世界の大手企業に広く採用されています。

計算方法はシンプルです。

  • 推奨者(Promoter):9〜10点を付けた人
  • 中立者(Passive):7〜8点を付けた人
  • 批判者(Detractor):0〜6点を付けた人

NPS=推奨者の割合(%)−批判者の割合(%)。たとえば回答者100人のうち推奨者が30人、批判者が45人なら、NPSは30−45=−15となります。スコアは−100〜+100の範囲を取ります。注意したいのは、7〜8点という「悪くない評価」が計算上ゼロ扱いになり、0〜6点がすべて批判者としてマイナスに効く点です。この設計により、NPSは「不満はないが乗り換えもあり得る層」と「積極的に使い続けたい層」を明確に区別できます。

顧客満足度(CS)との最大の違いは、「過去の評価」ではなく「未来の行動意向」を聞いている点です。「満足している」と答えた顧客が翌月解約することは珍しくありませんが、「他者に薦めたい」という回答は継続利用・追加購入・紹介といった収益につながる行動と相関しやすいことが知られています。

なお、NPSと同じ仕組みを従業員向けに使う指標としてeNPS(従業員が自社を勤め先として薦めたいか)もあり、顧客体験と従業員体験をセットで測る企業も増えています。本記事では顧客向けNPSに絞って解説します。

BtoBでNPSが重視される理由と日本企業のスコア目安

BtoBでNPSが重視される理由と日本企業のスコア目安

BtoBビジネスでNPSが特に重視される理由は、収益構造にあります。SaaSをはじめとするサブスクリプション型はもちろん、受託や卸であっても、BtoBの収益は既存顧客の継続・拡大が大きな割合を占めます。解約や取引縮小の兆候を早期に察知し、逆に推奨者を事例取材や紹介営業に巻き込めるNPSは、カスタマーサクセスと営業をつなぐ共通言語として機能します。

また、BtoBはBtoCに比べて顧客数が少なく、1社あたりの取引額が大きいという特徴があります。BtoCのように数千件の回答から統計的な傾向を読むのではなく、「どのアカウントの誰が批判者なのか」を特定して個別に手を打てるのがBtoBにおけるNPSの強みです。回答が数十件しか集まらなくても、重要顧客の生の声として十分に価値があります。

スコアの目安については注意が必要です。日本では回答者が中央の点数を選びやすい国民性の影響で、NPSは欧米よりも低く出る傾向があり、日本企業の平均スコアはマイナスになることが一般的とされています。たとえばクラウドサーカス社の調査では、国内BtoB SaaS企業のNPS平均は−17.3という結果が報告されており、海外SaaS平均(+36程度とされる)とは大きな開きがあります。

したがって「スコアがマイナスだからダメ」と短絡的に判断するのではなく、次の2つの見方が実務的です。

  • 自社の推移を追う:四半期ごと・施策前後でスコアがどう動いたかを見る。
  • 同一条件の比較にとどめる:業界・国・調査方法が異なるスコアとの単純比較は避ける。

BtoB向けNPS調査の設計方法(質問・対象・タイミング)

BtoB向けNPS調査の設計方法

BtoBのNPS調査は、BtoCと同じ設計では機能しません。押さえるべきポイントは3つです。

1. 調査タイプを使い分ける

  • リレーショナル調査:半年〜1年に1回、取引関係全体への評価を聞く定点観測。経営指標・ヘルススコアとして使う。
  • トランザクショナル調査:導入完了時、サポート対応後など特定の体験直後に聞く。個別プロセスの改善に使う。

2. 「誰に聞くか」を設計する

BtoBでは、決裁者・導入推進者・現場ユーザーで評価が分かれるのが普通です。1社1回答にせず、役職・部門ごとに回答を集め、アカウント単位で集計できるようにしておくと、「現場は推奨者だが決裁者は批判者(更新リスクあり)」といった構造が見えます。

3. 理由を聞く自由記述が本体

スコアそのものより、「その点数を付けた理由」「改善してほしい点」の自由記述こそが改善の材料です。質問文の例を挙げます。

  • 「〇〇(サービス名)を同僚や知人に薦める可能性はどのくらいありますか?(0〜10)」
  • 「その点数を付けた理由を教えてください(自由記述)」
  • 「今後さらに改善してほしい点があれば教えてください(自由記述)」

この3問程度に絞り、回答負荷を下げるのが回収率を上げるコツです。設問を10問も20問も並べた「総合満足度調査」にしてしまうと、回収率が下がるうえ分析も改善アクションも曖昧になります。実施手段は、少数の主要顧客ならGoogleフォームやメールでも十分始められます。回答数が増えてきたら、配信・集計・クローズドループ管理までを自動化できる専用のNPSツールやCS管理ツールの導入を検討しましょう。回収率が低い場合は、匿名性の担保を明示する、営業・CS担当から直接依頼する、回答時間の目安(1〜2分)を伝えるといった工夫が有効です。

NPSを改善につなげる5ステップ

NPSを改善につなげる5ステップ

NPSは「測って終わり」になりやすい指標です。改善サイクルを回すための5ステップを紹介します。

  • ステップ1:目的とKPIツリーを定義する——「更新率を上げたい」「紹介経由の商談を増やしたい」など、NPSを何の先行指標として使うかを決める。
  • ステップ2:調査を設計・実施する——前章のとおり、タイプ・対象・質問数を設計して配信する。
  • ステップ3:セグメント別に分析する——全体スコアだけでなく、プラン別・利用年数別・役職別に分解し、自由記述をテーマ分類して批判者の主因を特定する。
  • ステップ4:批判者フォローを最優先で実行する——批判者には48時間以内を目安に担当者が連絡し、課題をヒアリングして対応策を提示する(クローズドループと呼ばれる運用)。解約予備軍への最も効果的な打ち手です。
  • ステップ5:推奨者をマーケティングに活用する——推奨者には導入事例の取材、レビューサイトへの投稿、紹介プログラムへの参加を依頼する。BtoBの購買では同業他社の評価が強く効くため、推奨者の声はリード獲得資産になります。

このサイクルを四半期単位で回し、スコアの変化と自由記述の変化をセットで経営・現場にフィードバックしていきます。ポイントは、NPSを単独の指標として孤立させず、解約率・更新率・アップセル率・サポート問い合わせ数などの行動データと突き合わせることです。「批判者の解約率は推奨者の何倍か」を自社データで確認できれば、NPS改善の投資対効果を社内に説明しやすくなり、継続的な取り組みとして定着します。

導入時によくある失敗3つ

  • スコアをKPIノルマにしてしまう:現場が高得点を「お願い」するようになり、指標としての意味が失われます。スコアは改善の材料であり、評価のための成績表ではありません。
  • 回答してくれた顧客に何も返さない:批判者への個別フォローはもちろん、「いただいた声をもとに〇〇を改善しました」という全体への報告がないと、次回以降の回収率が大きく下がります。
  • 一度きりで終わる:単発の調査ではトレンドが読めません。最初から「年2回実施」など継続前提でスケジュールに組み込みましょう。

まとめ:NPSは「測って終わり」にしない

まとめ:NPSは測って終わりにしない

本記事のポイントを整理します。NPSは「薦めたいか」という1つの質問で顧客ロイヤルティを測る指標で、推奨者の割合から批判者の割合を引いて算出します。BtoBでは決裁者と現場で評価が分かれるためアカウント単位・役職別の回収が重要であり、日本ではスコアがマイナスに出やすいため絶対値より自社の推移を追うことが実務の基本です。

NPSは、質問1つで始められる手軽さと、収益につながる行動との相関の強さを兼ね備えた指標です。一方で、スコアの高低に一喜一憂するだけでは何も変わりません。「批判者を減らす個別フォロー」と「推奨者を活かすマーケティング」という2つのアクションに落とし込み、継続的に測定して初めて意味を持ちます。まずは主要顧客向けのリレーショナル調査から小さく始めてみてください。

Semuis株式会社では、BtoB企業のマーケティング戦略設計から、顧客調査の設計、リード獲得・ナーチャリング施策の実行までを一貫して支援しています。「顧客の声を売上につなげる仕組みを作りたい」という方は、お気軽にお問い合わせください。

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