後払い決済(BNPL)とは?仕組み・市場規模・EC事業者が導入するメリットをわかりやすく解説
2026.07.15
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「クレジットカードを持っていない」「ネットでカード情報を入力したくない」──そんな顧客を取りこぼしていないでしょうか。その受け皿として急速に存在感を増しているのが「後払い決済(BNPL)」です。国内市場は2兆円規模に向けて成長が続くと予測されており、ECの決済手段として無視できない存在になりつつあります。
本記事では、後払い決済の仕組みと支払いの流れ、市場規模のデータ、EC事業者が導入するメリット・注意点、そして導入時の比較ポイントまでをわかりやすく解説します。
後払い決済(BNPL)とは?仕組みと支払いの流れ

後払い決済とは、商品を先に受け取り、代金を後からコンビニ・銀行振込・口座振替などで支払う決済方式です。英語では「BNPL(Buy Now, Pay Later=今買って、後で払う)」と呼ばれ、世界的にも利用が拡大しています。国内ではPaidy、NP後払い、atone、GMO後払いなどのサービスが代表的です。
購入者側の流れはシンプルです。①ECサイトの決済画面で「後払い」を選択し、メールアドレスや携帯電話番号などを入力、②決済事業者がその場で簡易的な与信審査を実施、③商品が先に届き、④後日送られてくる請求書(またはアプリ・メールの請求)をもとに、コンビニなどで期日までに支払います。クレジットカードのような事前のカード発行審査が不要で、スマホと本人確認情報だけで使えるのが特徴です。
EC事業者側から見ると重要なのは、多くの後払いサービスが「未回収リスクの保証型」である点です。決済事業者が代金を立て替えて事業者に入金し、購入者からの回収は決済事業者が行うため、万一購入者が支払わなくても事業者側は代金を受け取れます(サービス・プランにより条件は異なります)。その対価として、決済手数料(一般に数%程度)や請求処理費用を決済事業者に支払う仕組みです。
後払い決済の主なタイプ
国内の後払いサービスは、大きく分けて2つのタイプがあります。1つは、商品に同梱またはメール等で送付される請求書をもとにコンビニ・銀行で支払う「請求書型」で、通販の後払いとして古くから使われてきた形です。もう1つは、メールアドレスと携帯電話番号だけで決済でき、アプリ上で請求確認・分割払い設定などが完結する「スマホ完結型(アプリ型)」で、若年層を中心に利用が広がっています。自社の顧客層がどちらに馴染みがあるかは、サービス選定の重要な判断材料になります。
データで見る後払い決済の市場規模

後払い決済は、データ上も高い成長を続けている分野です。矢野経済研究所の調査によると、国内のBtoC向け後払い決済(BNPL)市場は2022年度に取扱高ベースで1兆2,609億円と推計され、2026年度には2兆円規模まで拡大すると予測されています。年率にして2桁成長が続く見通しであり、決済分野のなかでも特に伸びが期待される領域です。
背景にあるのはEC市場そのものの拡大です。経済産業省「令和6年度電子商取引に関する市場調査」(2025年8月公表)によれば、2024年の国内BtoC-EC市場規模は26.1兆円(前年比5.1%増)、物販系分野は15兆2,194億円に達しています。EC利用者の裾野が広がるほど、「カードを持たない・使いたくない」層の決済ニーズも大きくなります。
後払い決済の主な利用者層として指摘されているのが、クレジットカードを保有していない、もしくは利用に抵抗がある若年層と、「商品を確認してから支払いたい」という慎重な購買層です。特にアパレル・コスメ・健康食品など、実物を確認してから支払いたいニーズが強い商材では、後払いの利用率が高い傾向が知られています。
また、スマホ完結型のBNPLサービスがアプリでの分割払いやチャージ機能などを拡充し、若年層の日常的な決済手段として定着しつつあることも、市場拡大を後押ししています。EC事業者にとっては、「クレジットカード・代引き・コンビニ前払い」だけだった時代と比べて、決済手段のラインナップが売上を左右する時代になったといえます。
EC事業者が後払い決済を導入するメリットと注意点

EC事業者にとっての後払い決済のメリットは大きく3つあります。
1. 新規顧客層の取り込み。クレジットカード非保有者やカード情報の入力に不安を持つ層に購入手段を提供でき、これまで取りこぼしていた見込み客を売上に変えられます。
2. カゴ落ち対策。Baymard Instituteの調査では、ECのカート放棄率は世界平均で約70%にのぼり、放棄理由には送料などの追加コストとならんで「決済に関する不安・不便」が含まれます。同調査の放棄理由ランキングでは「サイトにクレジットカード情報を渡すのが不安だった」「十分な支払い方法がなかった」という決済起因の項目が継続的に上位に入っており、希望する決済手段がないことは明確な離脱要因です。決済手段の拡充はカゴ落ち対策の定石の一つといえます。
3. 未回収リスクの低減。保証型サービスであれば、代金未回収の心配なく後払いを提供できます。自社で請求書を発行・回収する手間も不要です。
一方で注意点もあります。第一に決済手数料です。一般にクレジットカードと同等かやや高めの料率になることが多く、客単価や利益率によっては負担が重くなります。第二に入金サイクルで、サービスによって月1回〜複数回と異なるため、資金繰りへの影響を確認しておく必要があります。第三に与信審査で購入者が否決されるケースがあること、そして高額商品では利用上限額(サービスにより数万円程度)に達しやすいことも把握しておきましょう。
後払い決済サービスの選び方と導入のポイント

後払い決済サービスを比較する際は、次の5つの観点を確認します。
①手数料体系:決済手数料率、請求処理費、月額固定費の有無。②入金サイクル:締め日と入金日、早期入金オプションの有無。③与信通過率と利用上限:自社の客単価に対して十分な上限額か。④購入者側の支払い方法:コンビニ払い・口座振替・アプリ払いなど、自社の顧客層に合っているか。⑤カート・モールとの対応状況:利用中のカートシステムに標準対応していれば、開発なしで導入できます。
このうち見落とされがちなのが③の与信通過率です。手数料が安くても与信審査が厳しく否決が多ければ、その分の注文はそのまま機会損失になります。逆に通過率が高いサービスは手数料がやや高めに設定されている傾向があり、「手数料の安さ」と「売上機会の最大化」はトレードオフの関係にあります。自社の客単価・顧客層で試算し、総合的に判断しましょう。
導入時の実務ポイントとしては、まず利用中のカートシステムが標準対応している後払いサービスから検討すると、導入コストと期間を大きく抑えられます。また、決済画面で後払いが選べることを商品ページやカート画面でも明示すると、「カードがないから」と離脱する前の訴求になります。導入後は、後払い選択率、後払い経由の新規顧客比率、CVRの変化を計測し、手数料負担に見合う効果が出ているかを検証しましょう。
後払い決済でよくある質問
Q. 購入者が支払わなかった場合、事業者は損をしますか?
保証型のサービスであれば、与信審査を通過した注文の代金は決済事業者から支払われるため、原則として事業者側の未回収損失にはなりません。ただし、キャンセル・返品時の取り扱いや、保証対象外となる条件(配送先不備など)はサービスごとに規定が異なるため、契約前に必ず確認しましょう。
Q. 手数料はどのくらいが相場ですか?
公開されている料率はサービス・プラン・商材によって幅がありますが、一般に決済手数料は数%程度に加え、請求書発行などの処理費用がかかる場合があります。表面的な料率だけでなく、月額固定費・処理費・入金サイクルを含めた実質コストで比較することが重要です。
Q. どんな商材と相性が良いですか?
アパレル・コスメ・健康食品・雑貨など、客単価が数千円〜数万円で「実物を見てから支払いたい」ニーズのある商材と好相性です。一方、利用上限額を超えやすい高額商材では分割型のサービスやショッピングローンなど別の選択肢も含めて検討する必要があります。
まとめ:後払い決済は「取りこぼし」を防ぐ成長投資
後払い決済(BNPL)は、商品受け取り後にコンビニなどで支払える決済方式で、国内市場は2022年度に1兆2,609億円、2026年度には2兆円規模への成長が予測されています。カード非保有層の取り込み、カゴ落ち対策、未回収リスクの低減といったメリットがある一方、手数料率や入金サイクルは慎重な比較が必要です。
「自社の客層に後払いは合うのか」「どのサービスを選ぶべきか」は、商材・客単価・顧客層によって答えが変わります。Semuis株式会社では、EC運営・モール運営支援の実績をもとに、決済まわりを含めたカゴ落ち対策・CVR改善を総合的にサポートしています。決済手段の見直しを検討されている方は、お気軽にお問い合わせください。

Semuis株式会社 代表取締役。BtoBマーケティング・セールス支援、ECコンサルティング、BPO、リスキリング事業を展開。まだ世に広まっていない優良企業の発掘と、挑戦欲の高い個人の成長に貢献することにコミット。趣味はブラジル音楽と筋トレ、読書など。note→ https://note.com/yamakami_semuis
