3分でわかる「パートナーマーケティング」とは?基礎から徹底解説

2024.12.12
- BtoBマーケティング
BtoBサービスで、「自社だけではブランディングやリード獲得に限界を感じている」企業が増える中で、「パートナーマーケティング」が2025年以降にトレンドになる可能性を秘めています。
今回はパートナーマーケティングの概要、種類、実践を解説していきます。
本記事のサマリーは下記です。
・BtoBパートナーマーケティングは、必要不可欠なオプションになっていく。・パートナーマーケティングの目的は、認知獲得・顧客接点獲得・関係構築の3つ
・インフルエンサーパートナー、マイクロパートナーなどに分けて、取り組みやインセンティブを設計していく。 |
詳細は以下です。
なぜ今「パートナーマーケティング」なのか?
リード獲得施策が頭打ちの企業が直面する限界
BtoBマーケティングの現場では、ここ数年で明確な変化が訪れています。展示会、リスティング広告、SEO、ホワイトペーパー…。従来王道とされてきたチャネルの多くが、今や飽和状態です。
どれだけ予算を投下しても、想定したCPAには届かず、広告効果の鈍化やインバウンドリードの質低下に頭を抱えるマーケターは少なくありません。
実際、2024年に実施されたBtoBマーケティング予算調査によれば、75%の企業が「既存チャネルの効率低下」に課題を感じていると回答。中堅SaaS企業の多くが「このまま自前のチャネルだけでは限界だ」という実感を抱き始めています。
社内リソースで打てる手はすでに打ち尽くした。そんな閉塞感を打破する打ち手として、再び注目され始めているのがパートナーマーケティングです。
パートナーマーケティングが注目される理由
パートナー施策がなぜ今求められるのか?マーケットの変化と戦略的背景
BtoB市場は、製品の機能や価格ではなく、「どのように顧客にリーチできるか」が競争優位性を決める時代へと突入しています。つまり、マーケティングにおける戦場は「プロダクト中心」から「流通戦略中心」へとシフトしているのです。
この流れの中で、パートナーマーケティングは再評価されています。
なぜなら、自社単体では届かないターゲット層に、第三者の信頼やネットワークを活用してアプローチできるからです。特に信頼性が求められるBtoB領域においては、第三者の紹介や共催イベントは、インバウンド施策では得られない「濃いリード」を獲得するための重要なチャネルとなり得ます。
実際、HubSpot、Salesforce、Marketoなど、海外SaaSの多くは初期成長フェーズから一貫してパートナー戦略に注力してきました。顧客とのタッチポイントを広げ、パイプラインの効率化を図りながら、営業コストの最適化に成功してきたのです。
パートナーマーケティングの具体的な実践ステップ
まず押さえるべき「4つのパートナータイプ」
パートナーマーケティングを機能させるためには、まず**「どのタイプのパートナーと組むのか」**を明確に定義する必要があります。ここでは、代表的な4つのパートナーモデルを紹介します。
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紹介パートナー(リード紹介型)
既存顧客や業界関係者、コンサルタントなどから新規見込み客を紹介してもらうモデル。短期的に成果が出やすく、初期導入のハードルが低いのが特徴。 -
販売代理パートナー(リセール型)
自社製品・サービスを代理で販売してくれるパートナー。営業・契約・サポートの範囲をどう切り分けるかが成功の鍵。 -
コンテンツ・メディアパートナー(共催型)
セミナー、ウェビナー、ホワイトペーパーなどを共催し、共同でリードを獲得するモデル。信頼性が高く、特にナーチャリング効果が高い。 -
テクノロジーパートナー(API連携・OEM型)
製品連携を通じて、相互補完的なエコシステムを構築するモデル。LTVの向上やチャーン率の低下に寄与する。
自社の事業フェーズや営業体制に応じて、どのパートナータイプが最適かを見極めることが極めて重要です。
パートナー開拓の5ステップ実践法
では実際に、どのようにパートナーを獲得・活用していくべきなのでしょうか。以下に、初期フェーズで押さえるべき5つの実践ステップを紹介します。
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パートナー候補のセグメント洗い出し
業界団体、業界メディア、既存顧客ネットワークなど、どこに潜在パートナーが存在するのかをリストアップ。 -
提携条件の設計
紹介報酬や契約分配率、支援内容などを設計。営業フローやリード取扱いのルールも明文化しておく。 -
初期接触〜商談化のテンプレート整備
スライド、スクリプト、FAQなどを整備し、スムーズに提案できる状態を整える。Notionでのナレッジ管理が有効。 -
パートナー教育と営業連携
製品理解や訴求ポイントを共有する場を定期的に設ける。SlackやHubSpot連携によるリアルタイムな情報共有が鍵。 -
成果評価と改善
紹介件数、成約率、パートナーごとの貢献度を定量的に可視化。継続提携の可否判断やインセンティブの見直しに活用。
成功している企業のパートナーマーケティング活用例
SaaS企業A社の「紹介パートナー」での成果:月間リード1.8倍に
従業員30名規模のSaaS企業A社は、展示会でのリード獲得に限界を感じていました。新たな打ち手として着目したのが、業界団体や既存顧客を活用した紹介パートナー制度の構築です。
彼らは、セミナーの共催をきっかけに業界団体との信頼関係を構築し、紹介報酬を制度化。紹介者には「A社を紹介すべき理由」を明文化した共通スクリプトを提供しました。
その結果、半年で紹介経由の成約率は36%に達し、CPAは従来の半分以下。月間リード数も1.8倍に拡大しました。
この成功の鍵は、単なる紹介依頼ではなく、パートナーにとっても意味のある「価値提供設計」ができていた点にあります。
パートナーマーケティングを成功させる鍵とは?
パートナー視点で設計しない施策は失敗する
多くの企業が陥るのが「パートナーにとってのメリット設計」を軽視してしまうことです。
一方的な売上目標の押し付け、業務負荷の偏り、不透明な報酬制度…。こうした状況では、継続的なパートナーシップは維持できません。
成功するパートナーマーケティングは、「相手が成果を出せる仕組み」を先に作ることから始まります。
たとえば、
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パートナー専用ダッシュボードの提供
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定期的な勉強会やフィードバック会の実施
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成果に応じた表彰制度の導入
など、“パートナーの成功を支援する仕組み”を構築することで、信頼と成果の両立が実現します。
よくある失敗例とその回避法
報酬だけで引きつけると、続かない
「成果1件あたり〇万円」だけでパートナーを募集しても、関係性は一過性のものになります。
特にBtoB領域では、金銭的メリットだけで動く関係性は、信頼構築や顧客サポートの質に限界があります。むしろ、情報共有の精度や相互理解の深さが継続性の鍵を握ります。
“関係性そのものを戦略的資産と捉える”という視点が不可欠です。
まとめ|外部の力をレバレッジするマーケ戦略の新常識
自社リソースを超えた成長の起点は「パートナー戦略」にある
パートナーマーケティングとは、単なる紹介施策でも、代理販売でもありません。それは、信頼・価値・成果を「共創」する成長戦略です。
既存チャネルに限界を感じている今だからこそ、自社の外に目を向け、パートナーと共にマーケットを開拓していく視点が求められています。
どんなパートナーがいるか?自社が提供できる価値は何か?小さな共催セミナーや紹介制度からでも構いませんのでぜひ実行に移してみてください!

Semuis株式会社 代表取締役CEO。2009年新卒でインナーブラディング支援会社に入社。以後、BtoBとBtoCスタートアップ〜上場企業まで50社以上のマーケティング、セールス支援に関わる。2020年、自分の人生は残り1万日しかないと悟り、2023年にSemuis株式会社設立。まだ世に広まっていない優良企業の発掘・発展と、挑戦欲の高い個人の成長に貢献することにコミット。趣味はブラジル音楽と筋トレ。