Amazonブランド分析(ブランドアナリティクス)とは?検索クエリパフォーマンスの見方と活用ノウハウを解説
2026.08.05
- ECモール
「Amazonで広告費をかけているのに、どの検索キーワードから売れているのか分からない」「商品ページを改善したいが、何から手を付けるべきか判断材料がない」——こうした悩みを解決してくれるのが、Amazonが無料で提供する公式分析ツール「ブランド分析(ブランドアナリティクス)」です。
経済産業省が2025年8月26日に公表した「令和6年度電子商取引に関する市場調査」によると、2024年の物販系BtoC-EC市場は15兆2,194億円(前年比3.70%増)、EC化率は9.78%まで拡大しました。市場の成長とともにAmazon内の競争も激しくなり、感覚に頼った運用では成果を出しにくくなっています。本記事では、ブランド分析の利用条件から、最重要レポートである「検索クエリパフォーマンス」の見方、売上改善への活かし方までをわかりやすく解説します。
Amazonブランド分析(ブランドアナリティクス)とは?利用条件と開き方

Amazonブランド分析(Brand Analytics)とは、Amazonブランド登録(Brand Registry)を完了した出品者が無料で利用できる公式データ分析ツールです。Amazonの検索・購買に関する実データをもとに、「どのキーワードで検索され、どれだけクリックされ、購入されたか」を確認できます。
従来、こうしたAmazon内部の検索データは出品者からはほとんど見えず、広告レポートや外部ツールから間接的に推測するしかありませんでした。ブランド分析を使えば、Amazon自身が持つ一次データに直接アクセスできるため、SEO・広告・商品ページ改善の意思決定の精度が大きく上がります。
利用条件
- Amazonブランド登録が完了していること(商標登録が前提)
- ブランドの代理人または権利者としてセラーセントラルに登録されていること
利用は無料で、セラーセントラルのメニューから「ブランド」→「ブランド分析」を開くとアクセスできます。ブランド登録がまだの方は、まず商標取得とブランド登録から進めましょう。商標の出願から登録までは通常数か月かかるため、Amazonでの中長期的なブランド展開を考えているなら早めの着手をおすすめします。
広告レポートとの違い
「検索キーワードのデータなら広告レポートでも見られるのでは?」と思われるかもしれません。しかし、広告レポートから見えるのは「広告経由」のデータだけです。ブランド分析は広告・オーガニックを問わずAmazon検索全体のデータを対象とするため、市場全体における自社の立ち位置(シェア)を把握できるという決定的な違いがあります。また、データは週次・月次・四半期の単位で集計されており、セール期間の影響や季節性の把握にも役立ちます。
検索クエリパフォーマンスの見方:ファネルで課題を特定する

ブランド分析の中でも最も活用価値が高いのが「検索クエリパフォーマンス」です。自社ブランドの商品が、どの検索キーワード(クエリ)でどれだけ表示・クリック・購入されたかを、ファネル形式で確認できます。主な指標は次の4段階です。
- インプレッション:検索結果に自社商品が表示された回数
- クリック:表示のうち、商品がクリックされた回数
- カート追加:クリック後、カートに入れられた回数
- 購入:最終的に購入に至った回数
重要なのは、各指標で「ブランドシェア(そのクエリ全体に占める自社の割合)」が見られる点です。たとえば「水筒 保冷」というクエリの購入シェアが3%であれば、そのキーワード市場の97%は競合に流れていることになります。
ファネルのどこで落ちているかを見る
検索クエリパフォーマンスは「どの段階で顧客を取りこぼしているか」を特定するのに最適です。インプレッションはあるのにクリックされないなら検索結果上の見え方(メイン画像・価格・タイトル)に課題があり、クリックはされるのに購入されないなら商品ページの中身に課題がある、と切り分けられます。
具体例で考えてみましょう。あるクエリで自社のインプレッションシェアが10%、クリックシェアが4%、購入シェアが2%だったとします。この場合、まず「表示されてもクリックされていない」(10%→4%)ことが最大のボトルネックです。競合の検索結果と自社を並べて見比べ、メイン画像の訴求力、価格・クーポンの見え方、レビュー件数・星評価の差を確認します。逆にクリックシェアより購入シェアが高いなら、商品ページは十分強いので、露出(広告・SEO)を増やすことが正解になります。このように、シェアの段差を読むだけで「今やるべき施策」が絞り込めるのがこのレポートの強みです。
その他の主要レポート:検索カタログ・リピート購入行動・デモグラフィック

ブランド分析には、検索クエリパフォーマンス以外にも実務で役立つレポートが揃っています。
検索カタログパフォーマンス
クエリ軸ではなく「商品(ASIN)軸」でファネルを確認できるレポートです。商品ごとのインプレッション→クリック→カート追加→購入の推移がわかるため、テコ入れすべき商品の優先順位付けに使えます。
リピート購入行動
ブランド全体・商品ごとのリピート購入者数や、リピートによる売上の割合を確認できます。リピート率の高い商品は定期おトク便の設定やまとめ買い訴求と相性が良く、LTVを伸ばす起点になります。
デモグラフィック(購入者属性)
購入者の年齢層・世帯収入などの属性傾向を確認できるレポートです。想定ターゲットと実際の購入者層のズレを発見できれば、商品画像やA+コンテンツの訴求を見直すきっかけになります。
ブランド分析を売上改善に活かす実践ノウハウ【シーン別】

データは「見る」だけでは売上になりません。実務では次のように使い分けます。
1. SEO:検索キーワードの発掘と反映
検索クエリパフォーマンスで、インプレッションが多いのに自社の購入シェアが低いクエリを抽出し、商品名・箇条書き・検索キーワード欄に反映します。自社では思いつかなかった「顧客が実際に使う言葉」を発見できるのが最大の価値です。
2. 広告:投資キーワードの選定
購入シェアがすでに高いクエリは指名買いに近いため守りの広告を、シェアが低く市場規模が大きいクエリは攻めの広告を、と予算配分の根拠にできます。スポンサープロダクト広告のキーワード追加・除外の判断材料としても有効です。
3. 商品ページ改善:ボトルネックに対応した施策
- クリック率が低い→メイン画像の変更、価格・ポイント設定の見直し、タイトル冒頭の訴求変更
- カート追加率・購入率が低い→サブ画像・A+コンテンツの拡充、レビュー対策、在庫・配送スピードの改善
改善施策の実行後は、同じレポートを週次・月次で確認し、シェアの変化で効果検証を行います。仮説→実行→検証のサイクルをデータで回せることが、ブランド分析導入の本質的なメリットです。
週次チェックの運用ルーティン例
実務では、次のようなシンプルなルーティンに落とし込むと継続しやすくなります。
- 毎週:上位20クエリのインプレッション・クリック・購入シェアを記録し、前週比の変動を確認する
- 毎月:シェアが下がったクエリの競合を調査し、改善施策(画像・価格・広告)を1つ決めて実行する
- セール前:ビッグセール(プライムデー等)前に伸びるクエリを前年同期間のデータで確認し、在庫と広告予算を準備する
ポイントは、すべてのクエリを追わないことです。売上インパクトの大きい上位クエリに絞って定点観測する方が、施策の質もスピードも上がります。
まとめ:データに基づくAmazon運用で競争を勝ち抜く

Amazonブランド分析は、ブランド登録さえ済ませれば無料で使える、Amazon公式の一次データ分析ツールです。特に検索クエリパフォーマンスは、SEO・広告・商品ページ改善のすべてに直結する情報源であり、使いこなせているかどうかで運用成果に大きな差がつきます。本記事のポイントを振り返ります。
- ブランド分析はブランド登録済み出品者が無料で使える公式分析ツール
- 検索クエリパフォーマンスでは、表示→クリック→カート追加→購入のファネルと自社シェアを確認できる
- シェアの「段差」を読むことで、画像・価格・商品ページ・広告のどこに手を打つべきかが特定できる
- 上位クエリに絞った週次の定点観測が、継続的な改善サイクルの土台になる
よくある質問
Q. ブランド登録をしていない出品者は使えませんか?
A. 使えません。ブランド分析はブランド登録済み出品者の特典として提供されているため、まず商標取得とブランド登録が必要です。なお、相乗り出品対策や偽造品対策の観点でも、ブランド登録のメリットは大きいといえます。
Q. データはどのくらいの頻度で更新されますか?
A. レポートにより異なりますが、検索クエリパフォーマンスは週次・月次・四半期単位で集計データを確認できます。日次の細かな変動を追うのではなく、週次でトレンドを見るのが基本の使い方です。
Q. 外部の分析ツールとどう使い分ければよいですか?
A. ブランド分析はAmazon公式の一次データという点で信頼性が最も高い一方、競合の売上推計などはできません。競合分析やキーワードの網羅的な調査は外部ツール、実データにもとづく自社の課題特定はブランド分析、という使い分けが実務的です。
一方で、「レポートの見方はわかったが、どの指標から手を付ければいいか判断できない」「分析に時間を割く人手がない」というご相談も多くいただきます。Semuis株式会社では、Amazonをはじめとした各ECモールの運営支援・広告運用支援を行っており、ブランド分析を活用した課題特定から改善施策の実行までを伴走型でサポートしています。Amazon運用の成果にお悩みの方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

Semuis株式会社 代表取締役。BtoBマーケティング・セールス支援、ECコンサルティング、BPO、リスキリング事業を展開。まだ世に広まっていない優良企業の発掘と、挑戦欲の高い個人の成長に貢献することにコミット。趣味はブラジル音楽と筋トレ、読書など。note→ https://note.com/yamakami_semuis
