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リードは増えても商談・受注が伸びない理由を可視化する「商談化診断マトリクス」とは

2026.09.21

  • BtoBセールス
  • BtoBマーケティング

「展示会やWeb施策の効果でリード数は着実に増えているのに、商談や受注にはつながらない」——BtoB企業のマーケティング担当者から、こうした相談を受ける機会が増えています。MAツールの導入やSFAの整備が進み、リード獲得の手段は多様化した一方で、なぜ商談化・受注という次の壁を越えられないのかが見えづらくなっているケースは少なくありません。特に生産設備、産業機器、ITインフラ、業務システムなど、検討に技術理解を要し、複数部門が意思決定に関わる商材ほど、この壁は高くなりがちです。

本記事では、「リードは増えているのに売上が伸びない」状態を構造的に整理するための独自フレームワーク「商談化診断マトリクス」を紹介し、要因の特定方法から改善の優先順位のつけ方までを解説します。

「リードは増えているのに売上が伸びない」はなぜ起きるのか

リードは増えているのに売上が伸びない理由

この課題が起きやすいのは、購買プロセスが長く、複数の関係者が意思決定に関わる技術系・専門性の高いBtoB商材です。展示会での名刺獲得数や資料ダウンロード数は増えていても、資料をダウンロードした担当者がそのまま購入を決定することはほとんどなく、情報収集から社内調整、予算確保、比較検討を経て初めて商談化に至ります。獲得したリードの中には、今すぐ導入を検討している企業だけでなく、将来に備えて情報収集している企業も数多く含まれるため、「リードは増えているのに商談化しない」という状況が発生しやすくなります。

さらに厄介なのは、商談になったとしても受注につながらないケースです。例えば自社が「手厚いサポート体制」を強みにしているにもかかわらず、顧客が「短納期」や「低コスト」を重視している場合、比較検討の段階で競合に競り負けてしまいます。マーケティング部門から見ると商談数は増えているため成果が出ているように見えますが、営業部門からすると提案の機会ばかりが増えて売上にはつながらない、というすれ違いが生まれます。問題は、MAやSFAの数値だけを眺めていても、「ターゲットがずれている」「価値が伝わっていない」「タイミングが早すぎる」「営業の運用に課題がある」といった複数の要因のどれが効いているのかが特定しにくい点にあります。Salesforceの調査ではMQLからSQLへの転換率は業界平均で13%程度にとどまるとされ、商談化率もチャネルによってインバウンドで15〜30%、展示会経由では1〜5%程度と大きな差があることが知られています。

要因を可視化する「商談化診断マトリクス」とは(Semuisオリジナルフレーム)

商談化診断マトリクスとは(Semuisオリジナルフレーム)

こうした複合的な課題を整理するために、Semuisでは独自に「商談化診断マトリクス」という2軸4象限のフレームワークを提案しています。縦軸には「要因が顧客側にあるか、自社側にあるか」、横軸には「戦略・設計の問題か、実行・運用の問題か」を置き、商談化を阻む要因を次の4象限に分類します。

第1象限(顧客側×戦略)は「ターゲット不適合」で、そもそも自社の商材が必要とされていない企業層にリードが偏っている状態です。第2象限(顧客側×実行)は「タイミング不一致」で、ニーズはあるものの検討時期が合っていない、社内稟議のタイミングと接触タイミングがずれている状態です。第3象限(自社側×戦略)は「価値訴求のズレ」で、自社の強みと顧客が重視する購買基準が噛み合っていない状態です。第4象限(自社側×実行)は「引き渡し・フォロー不備」で、マーケティングから営業へのリード引き渡し基準が曖昧だったり、フォローのスピードや質にばらつきがあったりする状態を指します。

このマトリクスを使う目的は、単一の指標では見えにくい「商談化しない理由」を、関係者全員が同じ地図の上で議論できるようにすることです。マーケティング部門と営業部門がそれぞれの立場から原因を主張し合うのではなく、まず4象限のどこに要因が集中しているのかをデータと現場の声から仮説立てし、そのうえで具体的な改善施策を検討する、という順序で進めることができます。従来、「リードの質が悪い」「営業のフォローが甘い」といった部門間の水掛け論に陥りがちだった議論を、共通のフレームに落とし込むことで、感情論ではなく構造の問題として建設的に話し合えるようになる点が、このマトリクスの最大の価値です。

4象限別に見る典型パターンと打ち手

4象限別に見る典型パターンと打ち手

「ターゲット不適合」(顧客側×戦略)が疑われる場合は、受注実績のある企業の業種・規模・課題を棚卸しし、広告やコンテンツの配信ターゲットを再設計することが優先されます。展示会やウェビナーの集客セグメントを見直し、そもそも購買力・決裁権のある層にリーチできているかを確認することも有効です。「タイミング不一致」(顧客側×実行)が疑われる場合は、休眠リードの掘り起こしやリードナーチャリングの強化が有効な打ち手になります。すぐに商談化しないリードを放置せず、定期的な情報提供で関係を維持し、検討タイミングが来たときに想起してもらえる状態を作ることが重要です。

「価値訴求のズレ」(自社側×戦略)が疑われる場合は、顧客が比較検討時に重視する基準(価格・納期・サポート体制・実績など)を営業の商談記録から洗い出し、訴求メッセージや提案資料を顧客基準に合わせて再構築する必要があります。「引き渡し・フォロー不備」(自社側×実行)が疑われる場合は、MQLの定義とSQLへの引き渡し基準をマーケティングと営業の間で明文化し、リードが発生してからの初動対応スピードを見直すことが即効性の高い改善策になります。実際に、問い合わせから5分以内の初動対応が商談化率を大きく左右するというデータも報告されており、リードレスポンスタイムの改善は多くの企業で着手しやすい打ち手の一つです。

マトリクスの使い方:3ステップで自社の壁を特定する

3ステップで自社の壁を特定する

実務でこのマトリクスを活用する際は、次の3ステップで進めると混乱を避けられます。ステップ1は「データの棚卸し」です。チャネル別のリード数、MQLからSQLへの転換率、商談化率、受注率をSFA・MAのデータから抽出し、どの段階で大きく数字が落ちているのかを可視化します。商談化率やMQLとSQLの違いの定義があいまいなままでは正確な現状把握ができないため、まずは自社の定義を明文化することが出発点になります。

ステップ2は「関係者ヒアリング」です。営業担当者に、失注理由や商談化しなかったリードの傾向をヒアリングし、データだけでは見えない現場の肌感覚を拾い上げます。ステップ3は「4象限へのマッピングと優先順位づけ」です。ステップ1・2で集めた情報を4象限に当てはめ、複数の要因が重なっている場合は、影響範囲が大きい(該当するリード数や商談数が多い)象限から優先的に着手します。1つの象限だけを見て場当たり的に施策を打つのではなく、マトリクス全体を俯瞰したうえで、投資対効果の高い順に手を打つことが遠回りを避けるコツです。

マーケ・営業が同じ地図を見て動くための運用ルール

マーケ・営業が同じ地図を見て動くための運用ルール

商談化診断マトリクスは、一度作って終わりのものではなく、四半期に一度など定期的に見直す運用に組み込むことで効果を発揮します。具体的には、マーケティングと営業の合同ミーティングでマトリクスを画面共有しながら、「今期はどの象限に課題が集中していたか」「前期と比べて改善した象限・悪化した象限はどこか」を確認する場を設けると、部門間の目線合わせがしやすくなります。展示会マーケティングのように投資対効果が見えにくい施策についても、展示会マーケティングで獲得したリードがどの象限でつまずいているかを追跡することで、次回の展示会施策の改善点が明確になります。

HubSpotなど海外の調査でも、マーケティングと営業の連携度が高い企業ほど収益成長率が高い傾向が報告されており、部門をまたいだ共通言語としてこうしたフレームワークを持つことの価値は年々高まっています。休眠リードの掘り起こしなど個別の改善施策に着手する前に、まずは自社の「商談化しない理由」がどの象限に偏っているのかを可視化することから始めてみてください。

重要なのは、マトリクスを一度作って終わりにせず、施策を打った後に再びリードから受注までの数字を計測し、狙った象限の数値が実際に改善したかを検証するサイクルを回すことです。効果が出ていなければ仮説が外れていた可能性が高く、別の象限に要因があると考えて再度ヒアリングとデータ確認に戻る、という地道な反復が結果的に一番の近道になります。

リード獲得から商談化・受注までの一気通貫した戦略設計や、マーケティング・営業の連携体制の構築でお困りの際は、ぜひSemuis株式会社にお気軽にお問い合わせください。

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