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ウィンロス分析(Win-Loss分析)とは?進め方5ステップと受注率を高める活用法を解説

2026.09.10

  • BtoBセールス

「なぜあの商談は受注できて、あの商談は失注したのか」。この問いに、感覚ではなくデータと顧客の生の声で答えるのがウィンロス分析(Win-Loss分析)です。受注(Win)と失注(Loss)の両方を体系的に振り返ることで、営業の勝ちパターンを再現可能にし、提案・マーケティングメッセージの精度を高められます。本記事では、ウィンロス分析の基本、いま重要性が高まっている背景、進め方5ステップ、そして分析結果を営業・マーケティングに活かす方法を解説します。

ウィンロス分析とは?失注分析との違い

ウィンロス分析とは

ウィンロス分析とは、決着した商談を対象に、受注・失注を分けた要因を顧客視点で特定する分析手法です。営業担当者の自己申告(CRMの失注理由欄など)だけに頼らず、可能な範囲で購買側へのインタビューやアンケートを行い、「顧客はなぜ自社を選んだのか/選ばなかったのか」を一次情報として収集する点が特徴です。

よく混同される「失注分析」は、その名のとおり負けた商談(Loss)だけを対象にしますが、ウィンロス分析は受注した商談(Win)も同じ枠組みで分析します。これが重要なのは、失注理由だけを集めると「価格が高かった」「機能が足りなかった」といった表面的な理由に偏りがちだからです。受注案件を分析すると、「営業の初動が早かった」「導入事例が刺さった」「経営層を巻き込めた」など、自社が選ばれる本当の理由=勝ちパターンが見えてきます。勝因と敗因を対で見ることで、初めて「何を伸ばし、何を直すか」の優先順位がつけられます。

分析の観点は、一般的に「価格・コスト」「製品・機能」「営業活動の質(対応スピード・提案内容)」「信頼・実績(事例・ブランド)」「競合の動き」「顧客側の事情(予算凍結・担当交代)」といった項目に分類して整理します。この分類軸をあらかじめ決めておくことが、後述するパターン抽出の精度を左右します。

なぜ今ウィンロス分析が重要なのか

なぜ今重要なのか

ウィンロス分析の重要性が高まっている背景には、BtoBの購買行動の変化があります。Gartnerの調査では、BtoBの購買担当者が営業担当者との対話に使う時間は購買プロセス全体のわずか17%程度にすぎないと報告されています。つまり買い手の検討の大半は、営業の見えないところ——Web上の情報収集や社内協議——で進んでおり、営業担当者が「なぜ負けたのか」を商談の場だけで正確に把握することはますます難しくなっています。

また、CRM上の失注理由は営業担当者の主観で入力されるため、実態とずれることが少なくありません。海外では、Win-Loss分析を専門とするサービス(米Clozdなど)が大型の資金調達を行うなど、「顧客への第三者インタビューによる敗因・勝因の把握」は一つの市場として確立しつつあります。日本でも、The Model型の分業体制が普及し、マーケティング・インサイドセールス・フィールドセールスの連携改善のために、部門横断で使える客観的な商談データの需要が高まっています。

ウィンロス分析は、受注率(商談化した案件のうち受注に至る割合)の改善に直結します。例えば受注率25%の組織が分析を通じて30%に引き上げられれば、リード獲得数を増やさずに売上を2割伸ばせる計算になり、広告費や人員を増やすより費用対効果の高い改善になり得ます。商談化率の改善と並んで、パイプライン効率を高める中核の取り組みといえるでしょう。

ウィンロス分析の進め方5ステップ

進め方5ステップ

実務では、次の5ステップで進めます。

ステップ1:対象商談の選定。直近1〜2四半期に決着した商談から、受注・失注をバランスよく10〜30件選びます。金額が大きい案件、競合とぶつかった案件、想定外の結果になった案件を優先すると学びが大きくなります。

ステップ2:社内データの整理。CRM・SFAから商談期間、金額、競合、失注理由、活動履歴を抽出し、営業担当者へのヒアリングで補完します。この段階で「営業視点の仮説」を言語化しておきます。

ステップ3:顧客インタビューの実施。可能な案件については、購買側の意思決定者に30分程度のインタビューを依頼します。失注顧客には答礼(謝礼)を用意し、営業担当者本人ではなく第三者(企画部門や外部パートナー)が聞くと本音を引き出しやすくなります。「最終候補は何社で、決め手は何だったか」「当社の提案で最も評価した点・物足りなかった点」「意思決定に影響した社内事情」を必ず聞きます。

インタビューの質問設計では、「はい/いいえ」で終わる質問を避け、「意思決定の場面で何が起きていたか」を時系列で語ってもらうことが重要です。比較検討の開始時期、候補に挙がった各社の第一印象、社内で反対意見が出た場面、最終決定の決め手——この流れで聞くと、CRMには決して残らない購買側の力学が見えてきます。

ステップ4:要因の分類とパターン抽出。収集した情報を前述の分類軸(価格/製品/営業活動/信頼/競合/顧客事情)でコーディングし、受注群と失注群で頻出要因を比較します。「初回提案までの日数が短い案件は受注率が高い」「特定競合が入ると価格勝負になり負けやすい」といったパターンを、商談ステージ別・顧客セグメント別に抽出します。

ステップ5:改善アクションへの落とし込み。抽出したパターンを、営業プロセス・提案書・トークスクリプト・マーケティングメッセージの具体的な変更に翻訳し、担当と期限を決めて実行します。営業パイプライン管理の定例会議に組み込み、四半期ごとに効果を検証するのが理想です。

インタビュー実施のハードルが高い場合は、段階的に始める方法もあります。第1段階として、失注時のCRM入力項目を「価格/機能/競合/時期/関係構築」などの選択式に再設計し、自由記述欄に「顧客の発言そのもの」を残すルールにするだけでも、データの質は大きく改善します。第2段階でアンケート(失注顧客へのメール調査)、第3段階で第三者インタビューへと拡張していけば、リソースの少ない組織でも無理なく定着させられます。商談の録画・録音データがある場合は、決定局面の会話を振り返るだけでも多くの示唆が得られます。

分析結果を営業・マーケに活かす方法とよくある失敗

成果につなげる活用法

ウィンロス分析の価値は、分析そのものではなく組織の行動変化にあります。活用先は大きく3つです。

営業部門では、勝ちパターンをセールスプレイブックに反映します。競合別の切り返しトーク、刺さった事例の使いどころ、失注リスクの早期検知シグナル(例:意思決定者に会えていない案件は失注率が高い)をプレイブック化し、新人でも再現できる形にします。

マーケティング部門では、顧客が実際に評価した価値をメッセージに反映します。自社が訴求していたポイントと顧客の決め手がずれているケースは非常に多く、インタビューで得た「顧客の言葉」はWebサイトや広告コピー、導入事例の改善素材としてそのまま使えます。

製品・経営では、失注要因の上位に挙がる機能ギャップや価格設定を、ロードマップ・プライシングの意思決定材料にします。

一方、よくある失敗は3つあります。1つ目は、失注案件だけを分析して「負け筋つぶし」に終始し、勝ちパターンの強化を怠ること。2つ目は、営業担当者の自己申告だけで結論を出し、顧客の本音を取りにいかないこと。3つ目は、一度きりの分析で終わらせてしまうことです。市場も競合も変わるため、ウィンロス分析は四半期ごとの継続運用にしてこそ、受注率の改善トレンドを追えるようになります。

運用体制としては、四半期に1回、営業・マーケティング・インサイドセールスの代表者が集まる「ウィンロスレビュー会議」を設けるのが現実的です。会議では、当期の受注率・主要な勝因と敗因のトップ3・前回決めた改善アクションの効果検証をアジェンダに固定し、毎回同じフォーマットで比較できるようにします。分析担当を一人に固定すると属人化しやすいため、インタビューの実施と要因のコーディングは複数名でローテーションし、判断基準をドキュメント化しておくと分析品質が安定します。

まずは直近の受注5件・失注5件を対象に、小さく始めてみてください。数件のインタビューでも、社内の思い込みを覆す発見が得られるはずです。

なお、ウィンロス分析は「営業担当者の査定」ではない、という点を組織に明確に伝えることも定着の鍵です。敗因の追及が個人の評価に直結すると、営業現場は情報を出さなくなり、分析の土台となるデータが集まらなくなります。目的はあくまでプロセスとメッセージの改善であり、個人ではなく仕組みに焦点を当てる——この前提を経営層がくり返し発信することで、現場の協力を得やすくなり、分析の精度と継続性が高まります。

Semuis株式会社では、BtoB企業の営業プロセス改善やマーケティング戦略の立案・実行を支援しています。ウィンロス分析の設計・インタビュー実施から勝ちパターンの仕組み化まで、自社に合った進め方を知りたい方は、ぜひお問い合わせフォームからお気軽にご相談ください。

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