JANコード(GTIN)とは?取得方法・費用からECモール出品での使い方・2次元コード移行まで解説
2026.08.10
- ECモール
Amazonに出品しようとして「JANコードを入力してください」と求められ、手が止まってしまった——EC事業を始めたばかりの方から非常によく聞くつまずきポイントです。JANコードは実店舗の商品だけのものと思われがちですが、いまやECモール出品・在庫管理・広告運用の土台となる重要なインフラです。本記事では、JANコード(GTIN)の基本、取得方法と費用、モール別の使われ方、そして2027年に向けて世界的に進む2次元コード移行(GS1 Sunrise 2027)まで、EC事業者が知っておくべき実務知識をまとめて解説します。
JANコード(GTIN)とは?ECで必要になる理由

JANコード(Japanese Article Number)は、「どの事業者の、どの商品か」を世界共通で識別できる商品識別コードです。国際的にはGTIN(Global Trade Item Number)と呼ばれ、JANコードはその日本国内での呼称です。商品パッケージのバーコードとして印刷される標準タイプは13桁で、「GS1事業者コード(9桁または7桁)+商品アイテムコード+チェックデジット」で構成されます。
ECでJANコードが重要になる理由は3つあります。
- 商品の一意識別:同じ商品名でも型番違い・容量違いが混在するECでは、JANコードが「同一商品かどうか」を判定する共通キーになります。モールのカタログ(商品マスタ)はJANコードを軸に商品情報を統合しています。
- 出品要件:Amazonをはじめ、多くのモールで商品登録時に製品コードの入力が求められます。
- 業務効率化:在庫管理システム(OMS/WMS)や発送代行との連携、棚卸し、複数モールの在庫一元管理は、実務上JANコード(またはそれに準ずるSKUコード)を軸に回ります。
経済産業省の「電子商取引に関する市場調査」によると、2024年の物販系BtoC-EC市場規模は15兆2,194億円(前年比3.7%増)、EC化率は9.78%と拡大を続けています。市場が広がり複数モール展開が当たり前になるほど、商品識別の標準化=JANコード整備の重要性は増しています。
逆に、JANコードを整備しないまま複数モールに出品すると、モールごとにバラバラのSKU管理となり、在庫の二重販売(売り越し)や広告データの分断が起こりがちです。EC事業を長く続けるつもりなら、初期段階で取得しておくことを強くおすすめします。
JANコードの取得方法と費用(GS1事業者コードの申請)

JANコードは自分で勝手に数字を決めてよいものではなく、一般財団法人流通システム開発センター(GS1 Japan)への申請が必要です。取得の流れは次のとおりです。
- ステップ1:GS1 Japanのサイトからインターネットで「GS1事業者コード」を申請する(はじめてでも1〜2週間程度で発行)。
- ステップ2:発行された事業者コードに、自社で商品アイテムコードを組み合わせてJANコードを設定する(採番)。
- ステップ3:採番した商品情報をGS1 Japanの製品情報登録サービスに登録し、バーコードをパッケージやラベルに表示する。
費用は「初期申請料+登録管理費(3年ごとの更新)」の構成で、事業者の年商規模に応じた区分制です。小規模事業者であれば比較的少額から始められます。金額は改定されることがあるため、申請前にGS1 Japan公式サイトで最新の料金表を確認してください。
なお、JANコードには13桁の標準タイプのほかに8桁の短縮タイプ(小さな商品パッケージ向け)があります。また、店頭でよく見かける「20〜29」で始まるコードは小売店が店内管理用に付けるインストアコードで、GS1に登録された正式なJANコードではありません。ECモールの製品コード欄にインストアコードを入力するとエラーやカタログ不整合の原因になるため、混同しないようにしましょう。
実務上の注意点として、他社商品のJANコードの使い回しや、架空のコードの自作は厳禁です。モールのカタログ上で他社商品と誤って統合される、出品停止措置を受ける、取引先との間で誤出荷が起きるなど、重大なトラブルの原因になります。また、事業者コードには更新期限があり、失効するとそのコードで採番したJANコードが使えなくなるため、更新管理も忘れずに行いましょう。
モール別・JANコードの使われ方と登録の注意点

主要モールでのJANコードの扱いを整理します。
Amazon
Amazonは商品登録時に製品コード(JAN/EAN/UPC)の入力が原則必須です。JANコードを入力すると既存のカタログページ(ASIN)に相乗りする形になり、同一商品は1ページに統合されます。自社オリジナル商品でJANコードがない場合は、Amazonブランド登録を行ったうえで「製品コード免除申請(GTIN免除)」を利用する方法もありますが、複数モール展開や卸販売を見据えるなら、正規にJANコードを取得しておくほうが結果的に効率的です。
楽天市場
楽天市場では、商品登録時のJANコード設定によって商品情報が楽天のカタログ情報と紐付き、検索や商品比較の精度に影響します。カタログIDとの整合が取れていないと、レビューの統合や価格比較企画の対象から外れることがあるため、正確な登録が重要です。
Yahoo!ショッピング
Yahoo!ショッピングでもJANコードによって製品情報データベースと連携され、商品名や画像の補完、検索結果への表示に影響します。JANコード登録の有無が実質的に露出量を左右するため、設定できる商品には必ず設定しましょう。
共通の注意点として、セット品・同梱バリエーションには単品と別のJANコードを採番するのが原則です。「単品のJANで2個セットを出品」するとカタログ不整合や誤配送につながります。また、色・サイズ違いはそれぞれ別商品として採番します(Tシャツ3色×4サイズなら12個のJANコードが必要)。リニューアルで内容量や成分が変わった場合も、原則として新しいコードを採番します。採番ルールをスプレッドシートなどで一元管理し、「どの商品にどのコードを割り当てたか」をいつでも追える状態にしておくことが、複数モール展開時の混乱を防ぐ最大のポイントです。
GS1 Sunrise 2027:2次元コード移行がECに与える影響

いま世界の流通業界では、従来の1次元バーコード(JAN/EAN/UPC)からQRコードなどの2次元コードへの移行プロジェクト「GS1 Sunrise 2027」が進んでいます。これは2027年末までに、世界の小売のPOSレジで2次元コードを読み取れる状態を目指す国際的な取り組みです。
ポイントは次の3つです。
- JANコードがすぐ廃止されるわけではない:移行期間中はJANコードと2次元コードをパッケージに併記する運用が想定されており、既存のJANコード資産はそのまま活きます。
- 1つのコードで持てる情報が増える:GS1 Digital Link形式の2次元コードには、商品識別番号に加えて賞味期限・ロット番号・シリアル番号などを格納でき、URLとしてスマホで読み取れば商品情報ページにも誘導できます。
- ECと実店舗の情報連携が進む:期限管理やトレーサビリティ、消費者への情報提供が1つのコードで完結するため、食品・化粧品などを扱う事業者ほど恩恵が大きくなります。
EC専業の事業者にとっても、卸販売や実店舗展開、越境ECを視野に入れるなら無関係ではありません。パッケージのリニューアル時期に合わせて2次元コード対応を検討する、印刷会社やラベル発行システムの対応状況を確認しておくなど、いまから情報収集を始めておくことをおすすめします。
よくある質問Q&A
Q. 海外モールで販売する場合もJANコードでよい?
A. JANコードはGTINの日本版であり、国際的に通用します。欧州のEAN、米国のUPCと同じ体系のため、越境ECでもそのまま利用できるのが原則です。
Q. ハンドメイド品や小ロットのオリジナル商品にも必要?
A. 自社サイトのみで販売するなら必須ではありませんが、モール出品や卸販売、実店舗展開の可能性が少しでもあるなら、早い段階で取得しておくと後の手間が大幅に減ります。
Q. 取得までどのくらいかかる?
A. GS1 Japanへのインターネット申請であれば、通常1〜2週間程度で事業者コードが発行されます。出品スケジュールから逆算して余裕をもって申請しましょう。
まとめ:JANコード運用チェックリスト

JANコードは地味な存在ですが、出品・在庫・物流・広告のすべてに関わるECの基礎インフラです。立ち上げ期に採番ルールを整えておくかどうかで、SKUが数百・数千に増えたときの運営効率がまったく変わります。逆に、途中からルールを直すのは商品マスタ・在庫システム・各モールの登録情報を横断する大仕事になるため、「最初に正しく作る」ことが最大の時短です。最後に、JANコード運用の実務チェックリストをまとめます。
- GS1事業者コードを正規に取得している(使い回し・自作をしていない)
- 事業者コードの更新期限を管理している
- SKU単位の採番ルール(色・サイズ・セット品の扱い)を社内で統一している
- 各モールのカタログ情報と自社の商品情報が一致している
- GS1の製品情報登録を最新に保っている
- 2次元コード移行(Sunrise 2027)の動向を定期的にチェックしている
Semuis株式会社では、ECモールへの出店・出品実務から在庫・商品マスタの整備、複数モールの運営体制構築までを一貫して支援しています。「モール出品の基盤づくりから相談したい」という方は、お気軽にお問い合わせください。

Semuis株式会社 代表取締役。BtoBマーケティング・セールス支援、ECコンサルティング、BPO、リスキリング事業を展開。まだ世に広まっていない優良企業の発掘と、挑戦欲の高い個人の成長に貢献することにコミット。趣味はブラジル音楽と筋トレ、読書など。note→ https://note.com/yamakami_semuis
