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特定商取引法(特商法)とは?EC事業者が守るべき表示義務と実務チェックリストをわかりやすく解説

2026.08.08

  • Webマーケティング

ECサイトを運営するうえで、規模を問わずすべての事業者に関係する法律が「特定商取引法(特商法)」です。「特商法に基づく表記」というページを何となく用意しているものの、記載内容が正しいか自信がない、最終確認画面の表示義務について詳しく知らない、という担当者の方は少なくありません。

実際に、消費者庁は定期購入の最終確認画面の表示義務違反を理由に、通販事業者へ業務停止命令などの行政処分を行っており、「知らなかった」では済まされない状況になっています。さらに2026年には消費者庁の検討会でデジタル取引に関する特商法の見直し議論が進んでおり、EC事業者への規制は強化される方向にあります。

本記事では、特商法の基本、通信販売で義務付けられる表示事項、最終確認画面のルール、違反時のリスク、そして今日から使える実務チェックリストまでをわかりやすく解説します。

特定商取引法(特商法)とは?

特定商取引法(特商法)とは?

特定商取引法(正式名称:特定商取引に関する法律)とは、消費者トラブルが生じやすい取引類型を対象に、事業者が守るべきルールと消費者を守る制度を定めた法律です。訪問販売、電話勧誘販売、連鎖販売取引など7つの取引類型が対象で、ECサイトでの販売は「通信販売」として規制されます。

重要なのは、特商法の通信販売規制は事業規模を問わず適用されるという点です。大手モールへの出店者はもちろん、自社ECサイト、個人事業主のネットショップ、BASEやSTORESなどで開設した小規模ショップも対象です。逆に、フリマアプリで個人が不用品を売るような「事業として行っていない」取引は原則対象外です。楽天市場やAmazonなどのモールに出店する場合は、モールの出店規約でも特商法対応(店舗情報ページの整備など)が求められるため、法律とモール規約の両面から表示を整える必要があります。

通信販売は店舗販売と異なり、消費者が事業者と対面せず、広告だけを頼りに購入を判断します。だからこそ特商法は、「誰が売っているのか」「いくら払うのか」「返品できるのか」といった情報の表示を事業者に義務付けているのです。なお、通信販売にはクーリング・オフ制度がない代わりに、返品特約を表示していない場合は商品到着から8日間、消費者が送料負担で返品できるというルール(法定返品権)がある点も押さえておきましょう。

通信販売で義務付けられる表示事項(特商法に基づく表記)

通信販売で必須の表示事項

ECサイトでは、広告(サイト)上に一定の事項を表示することが義務付けられています(特商法第11条)。いわゆる「特商法に基づく表記」ページで対応するのが一般的です。主な表示事項は次のとおりです。

  • 事業者の氏名(名称)、住所、電話番号
  • 販売価格(税込)と、送料など商品代金以外に必要な料金
  • 代金の支払時期と支払方法
  • 商品の引渡時期(発送時期)
  • 返品特約(返品・交換の可否、条件、返品送料の負担者)
  • 事業の責任者名(法人の場合)

実務でつまずきやすいポイントを3つ挙げます。

個人事業主の住所・電話番号

個人事業主も原則として住所・電話番号の表示が必要です。ただし一定の条件下では、請求があったら遅滞なく開示する旨を表示したうえで省略できる運用が認められる場合があります。モールやカートシステムごとのガイドラインも確認しましょう。

返品特約の書き方

前述のとおり、返品特約を表示しなければ法定返品権が適用され、8日間の返品に応じる義務が生じます。「不良品以外の返品不可」とする場合は、その旨を明確に表示する必要があります。

価格表示

総額表示義務により、消費者向けの価格は税込価格の表示が必要です。送料が地域や個数で変わる場合は、その計算方法がわかるように記載します。

また、表示義務と並んで押さえておきたいのが広告規制です。特商法では、商品の性能や取引条件について「著しく事実に相違する表示」や「実際のものより著しく優良・有利であると誤認させる表示」(誇大広告等)が禁止されています。景品表示法の優良誤認・有利誤認表示とあわせて、商品ページやLPの表現が実態と乖離していないかを定期的に点検する体制が必要です。さらに、前払式通信販売(商品の引渡し前に代金の全部または一部を受け取る販売方式)では、申込みを受けて代金を受領した際に、承諾の可否などを記載した書面(メール等)を遅滞なく通知する義務がある点も見落としがちなポイントです。

最終確認画面の表示義務と定期購入規制

最終確認画面の表示義務

2022年6月施行の改正特商法で導入され、現在の実務で最も重要になっているのが「最終確認画面」の表示義務です。最終確認画面とは、消費者が「注文を確定する」ボタンを押す直前の画面のことで、ここに次の6項目を一括して表示することが義務付けられています(特商法第12条の6)。

  • 商品の分量(定期購入の場合は各回の分量と総量)
  • 販売価格・対価(定期購入の場合は各回の金額と支払総額)
  • 支払の時期・方法
  • 商品の引渡時期
  • 申込みの撤回・解除に関する事項(解約方法・解約条件)
  • 申込期間の定めがある場合はその旨(「今だけ」等の期間限定販売)

この規制が特に厳しく運用されているのが定期購入です。「初回500円」を強調しながら、実際は複数回の購入が条件で総額が高額になる、いわゆる「詐欺的な定期購入商法」への対策として導入された経緯があり、消費者庁は施行後、最終確認画面の表示義務違反を理由とした業務停止命令・業務禁止命令を複数の事業者に対して行っています。

また、最終確認画面で誤認するような表示によって申込みをした消費者は、その申込みを取り消せる制度(誤認取消し)も設けられています。「解約はいつでも可能」と表示しながら実際は電話がつながらない、といった運用も行政処分の対象になり得ます。定期購入を扱う事業者は、広告・LP・確認画面・解約導線をセットで点検することが不可欠です。

違反するとどうなる?行政処分・罰則と最新動向

違反した場合のリスクと最新動向

特商法に違反した場合のペナルティは段階的に用意されています。

  • 行政指導・改善指示:表示の不備などに対する是正指示(事業者名が公表される場合あり)
  • 業務停止命令:通信販売業務の全部または一部の停止(最長2年)。事業者名・違反内容が公表される
  • 業務禁止命令:法人への停止命令と併せて、役員個人に対して同種業務の禁止を命じる制度
  • 刑事罰:虚偽・誇大広告や命令違反には懲役や罰金が科される可能性

実際の処分事例を見ると、近年は定期購入に関する最終確認画面の表示義務違反が処分理由の中心になっています。処分を受けると事業停止による売上損失だけでなく、社名公表による信用毀損、モールアカウントの停止など、事業継続に関わるダメージにつながります。

今後の動向として、消費者庁では「デジタル取引・特定商取引法等検討会」が設置され、2026年夏頃を目途に中間とりまとめが予定されるなど、ネット通販の表示規制やダークパターン(消費者を誤認させるUI設計)への対応強化が議論されています。SNS広告経由の通販トラブルの増加も背景にあり、EC事業者に求められる表示の水準は今後さらに上がっていくと考えておくべきでしょう。

EC事業者の実務チェックリスト

EC事業者の実務チェックリスト

最後に、自社サイト・出店ページを点検するためのチェックリストをまとめます。年に1回、また商品構成や価格を変更したタイミングで確認することをおすすめします。

「特商法に基づく表記」ページ

  • 事業者名・住所・電話番号が最新の情報になっているか
  • 販売価格が税込で表示され、送料の計算方法が明記されているか
  • 支払時期・支払方法、引渡時期が具体的に書かれているか
  • 返品特約(可否・条件・送料負担)が明確か

最終確認画面(カート・注文確定画面)

  • 6項目(分量・価格・支払・引渡・解約・申込期間)が確定ボタンの直前画面で確認できるか
  • 定期購入の場合、各回の金額・回数・支払総額が明示されているか
  • 解約方法が具体的に記載され、実際にその方法で解約できるか

広告・LP

  • 「初回無料」「今だけ」などの強調表示と実際の条件に食い違いがないか
  • 打ち消し表示(例外条件)が極端に小さい文字になっていないか
  • カウントダウンや在庫表示など、事実と異なる演出をしていないか

チェックの結果、不備が見つかった場合は、カートシステムの設定変更やページ修正で早急に対応しましょう。モール出店の場合は、モール側の規約が特商法より厳しい基準を定めていることもあるため、両方を満たす必要があります。

まとめ:特商法対応は「守り」であり「信頼づくり」

特定商取引法は、通信販売を行うすべてのEC事業者に適用される基本の法律です。表示義務への対応は一見「守り」のコストに見えますが、事業者情報や返品条件が明確なショップは購入者の安心感につながり、レビューやリピートにも好影響を与えます。規制強化の議論が進む今こそ、自社の表示を一度総点検しておきましょう。

Semuis株式会社では、ECモール・自社ECの運営支援を通じて、商品ページ・LP・カート画面の点検や販売施策の設計をサポートしています。「自社の表示が特商法に対応できているか不安」「定期購入の設計を見直したい」という方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。※個別の法的判断が必要な場合は、消費者庁の公表資料の確認や専門家(弁護士等)への相談をおすすめします。

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