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Amazon IPI(在庫パフォーマンス指標)とは?スコアの仕組み・FBA保管制限のリスクと改善対策をわかりやすく解説

2026.08.07

  • ECモール

FBA(フルフィルメント by Amazon)を利用して販売していると、セラーセントラルで必ず目にするのが「IPI(在庫パフォーマンス指標)」です。IPIはAmazonが出品者の在庫管理の効率性を数値化したスコアで、この数値が低いとFBAの在庫保管制限や超過保管手数料といった実害につながります。本記事では、IPIの仕組み、スコアを構成する要素、低下時のリスク、そして実務で使える改善対策までをわかりやすく解説します。

IPI(在庫パフォーマンス指標)とは?

IPI(Inventory Performance Index:在庫パフォーマンス指標)とは、出品者がFBA在庫をどれだけ効率的・生産的に管理できているかをAmazonが0〜1000のスコアで示した指標です。セラーセントラルの「在庫パフォーマンスダッシュボード」で確認でき、過去の販売実績と在庫水準のバランスをもとに継続的に算出されます。

スコアの目安として、600以上であれば在庫管理が良好な状態、逆にAmazonが定める基準値(近年は350〜400前後で運用され、時期により見直しがあります)を下回ると、FBAの在庫保管制限の対象になり得ます。評価は四半期ごとに行われ、四半期末の約6週間前時点のスコアで翌四半期の制限有無が通知され、四半期末までに基準値以上へ改善できれば制限は適用されない、という運用になっています。正確な最新の基準値は、セラーセントラルの在庫パフォーマンスダッシュボードで必ず確認しましょう。なお、スコアは日次で更新されるわけではなく、直近の販売・在庫データを反映して定期的に再計算されます。セール直後の一時的な変動に一喜一憂するのではなく、四半期単位のトレンドで捉えるのが正しい見方です。

売れ筋の在庫を切らさず、売れない在庫を溜め込まない。IPIはこの当たり前の在庫運用ができているかを映す「健康診断の数値」であり、Amazonのアカウント健全性評価(AHR)が規約順守の指標であるのに対し、IPIは在庫運用の効率性の指標という位置づけです。

なぜAmazonがここまで在庫効率を重視するかというと、FBA倉庫のキャパシティは有限であり、「売れない在庫が棚を占有する」ことはAmazon・出品者・購入者の全員にとって損失だからです。経済産業省「電子商取引に関する市場調査」によると日本の物販系BtoC-EC市場は2023年時点で約14.6兆円と拡大を続けており、FBAへの納品需要も年々増加しています。特にプライムデーやブラックフライデーなど大型セール前は倉庫が逼迫するため、在庫効率の低い出品者から優先的に制限がかかる構造になっています。IPIは「限られた倉庫スペースを効率的に使える出品者かどうか」を判定する仕組みだと理解すると、対策の方向性も見えやすくなります。

IPIスコアを構成する4つの要素

Amazonが公表しているIPIの主な構成要素は次の4つです。それぞれ在庫パフォーマンスダッシュボード上で状態を確認できます。

  • ①余剰在庫の割合: 需要に対して在庫を持ちすぎていないか。90日以上の販売見込みを超える在庫は「余剰在庫」とみなされ、スコアを大きく下げる要因になります。
  • ②FBA販売率(セルスルー率): 過去90日間の販売数を平均在庫数で割った指標。在庫がどれくらいの速度で売れているかを示し、回転の遅い在庫が多いほど低下します。
  • ③出品情報のない在庫(ストランデッド在庫)の割合: FBA倉庫に在庫があるのに、出品エラーなどで購入可能になっていない在庫の割合。保管費だけが発生する「売れない在庫」です。
  • ④FBA在庫あり率: 売れ筋商品(補充対象商品)を欠品させずに在庫を維持できているか。欠品は販売機会の損失であると同時にスコア低下の要因になります。

つまりIPI改善とは、「余剰を減らし、回転を上げ、ストランデッドをゼロにし、売れ筋を切らさない」という4つの実務に分解できます。

4要素のうち、スコアへの影響が特に大きいとされるのが「余剰在庫の割合」と「FBA販売率」です。目安として、FBA販売率は過去90日間で在庫の大半が入れ替わる水準(在庫回転でいえば四半期に1回転以上)を目指したいところです。たとえば平均在庫1,000個に対して90日間の販売数が300個であれば販売率は0.3となり、9か月分以上の在庫を抱えている計算になります。この状態では保管手数料が利益を圧迫するだけでなく、季節性・トレンドの変化による陳腐化リスクも高まります。ダッシュボードには要素ごとに「対応が必要な商品リスト」が表示されるため、まずはどの要素が足を引っ張っているかを特定することから始めましょう。

スコア低下のリスク:FBA在庫保管制限と手数料負担

IPIスコアが基準値を下回った場合の最大のリスクは、FBAの在庫保管制限(保管上限の設定)です。保管上限が設定されると、上限を超える新規納品ができなくなり、売れ筋商品の補充が止まって販売機会を失うという悪循環に陥ります。さらに、上限を超過して在庫を保管している場合には超過保管手数料が発生します。

これとは別に、FBAには保管期間が271日を超えた在庫などに課される長期在庫保管手数料もあり、回転の悪い在庫は「場所代の二重払い」になりがちです。在庫は持っているだけで毎月保管コストが発生するため、IPIの低下は単なるスコアの問題ではなく、キャッシュフローと利益率を直接悪化させる経営課題だと捉えるべきです。

保管制限の影響は数字以上に深刻です。たとえば月商500万円の店舗で売上上位20%のSKUが補充できなくなると、その期間の売上・利益が直接失われるだけでなく、欠品によって検索順位やカートボックス獲得率が低下し、在庫復活後も元の販売水準に戻るまで時間がかかります。つまり一度の保管制限が「制限期間中の損失」と「回復期間の損失」の二重の機会損失を生むのです。だからこそ、基準値ぎりぎりでの綱渡り運用ではなく、常に余裕を持ったスコア水準(目安600以上)を維持することが推奨されます。

実際、在庫の持ちすぎは日本のEC事業者に共通する課題です。売上を優先して仕入れを増やした結果、季節商品や流行商品が余剰化し、値引き処分でも回収できないケースは少なくありません。IPIはこうした在庫リスクを早期に可視化してくれる指標でもあります。

IPIスコアを改善する具体的な対策

IPIを改善するには、構成要素ごとに対策を打つのが最短ルートです。実務では次の順番で着手するのがおすすめです。

  • ストランデッド在庫の解消(即効性:高): 在庫パフォーマンスダッシュボードで出品情報のない在庫を確認し、出品エラーの修正・再出品を行います。作業だけで解消できるため、最初に着手すべき項目です。
  • 余剰在庫の削減: 90日以上売れる見込みのない在庫は、値下げ・クーポン・Amazonアウトレットへの出品で販売を促進するか、返送・所有権の放棄で整理します。長期保管手数料の請求タイミング前に判断するのがポイントです。
  • 販売率の改善: 広告(スポンサープロダクト広告など)やタイムセールで回転を高めると同時に、回転の遅いSKUは納品数量を絞ります。「売れる分だけ、こまめに納品する」が原則です。
  • 欠品の防止: 補充対象商品のアラートを活用し、リードタイムを踏まえた発注点を設定します。在庫あり率の維持は売上とスコアの両方に効きます。
  • 需要予測の精度向上: 過去の販売データ、季節性、セールイベント(プライムデー等)を織り込んだ販売計画を立て、仕入れ・納品量を計画的にコントロールします。

週次で「余剰在庫率」「販売率」「ストランデッド件数」「在庫あり率」の4つをチェックする運用を仕組み化すれば、IPIは自然と改善していきます。

実務での運用イメージも紹介します。ある食品カテゴリの出品者では、SKUごとに「在庫日数(現在庫÷直近30日の日販)」を毎週算出し、在庫日数が90日を超えたSKUは自動的に値下げ・広告強化の対象に、30日を切ったSKUは即補充の対象に振り分けるルールを設けたところ、余剰在庫と欠品が同時に減り、IPIスコアが改善して保管制限を回避できました。ポイントは、担当者の勘に頼らず「在庫日数」という共通の物差しで機械的に判断する仕組みを作ることです。SKU数が多い場合は、在庫管理ツールやスプレッドシートでの自動集計を導入すると週次運用が現実的になります。また、新商品の初回納品は少量に抑えて売れ行きを確認してから追加納品する「テスト納品」を徹底するだけでも、余剰在庫の発生をかなり防げます。

まとめ:IPIは「利益が残る在庫運用」のバロメーター

IPI(在庫パフォーマンス指標)は、単なるAmazon内のスコアではなく、在庫回転・キャッシュフロー・保管コストという利益の根幹を映すバロメーターです。基準値を下回ってから慌てるのではなく、日頃から余剰在庫の削減と売れ筋の欠品防止を仕組みとして回すことが、FBA運用で利益を残す最大のポイントです。IPI対策として紹介した「在庫日数での機械的な判断」「テスト納品の徹底」「週次での4指標チェック」は、Amazonに限らず楽天市場やYahoo!ショッピングなど複数モールを運営する場合の在庫管理にもそのまま応用できる考え方です。在庫効率の改善は一朝一夕には進みませんが、仕組み化すれば確実に数字に表れる領域でもあります。

Semuis株式会社では、Amazonの在庫運用改善、FBA納品計画の設計、広告運用までを一気通貫で支援しています。「保管制限がかかってしまった」「余剰在庫と欠品が同時に起きている」といったお悥みをお持ちの方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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