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ABC分析とは?EC運営の売上・在庫管理に活かすやり方と実務での使い方をわかりやすく解説

2026.08.06

  • ECモール

「売れ筋商品がどれか、感覚では分かっているが数字で説明できない」「在庫が増え続けているのに、どの商品を絞るべきか判断できない」——EC運営の現場でよく聞かれる悩みです。経済産業省の「令和6年度電子商取引に関する市場調査」(2025年8月公表)によると、2024年の物販系BtoC-EC市場規模は15兆2,194億円・EC化率9.78%と拡大が続く一方、競争激化により「限られたリソースをどの商品に集中させるか」の判断が売上と利益を大きく左右する時代になっています。その判断の土台となるフレームワークがABC分析です。本記事では、ABC分析の基本からExcelでできる実践手順、ランク別の実務活用法までをわかりやすく解説します。

ABC分析とは?パレートの法則との関係

ABC分析とパレートの法則

ABC分析とは、商品を売上高などの重要度に応じてA・B・Cの3ランクに分類し、ランクごとに管理の力の入れ方を変える分析手法です。「重点分析」とも呼ばれ、在庫管理・商品戦略・販促の意思決定に幅広く使われています。

背景にあるのは「パレートの法則(2:8の法則)」です。これは「全体の成果の8割は、2割の要素が生み出している」という経験則で、ECでも「売上の大部分は一部の主力商品が作っている」という構造が多くの店舗で当てはまります。取扱商品数が増えやすく、在庫という形で資金が固定されやすいECだからこそ、「どこに集中すべきか」を機械的に判定できるABC分析との相性は抜群です。たとえば100SKUを扱う店舗で、売上の75%を上位20SKUが稼いでいるようなケースは珍しくありません。全商品を同じ熱量で管理するのは非効率であり、成果を生んでいる商品群にリソースを集中させるのが合理的です。

一般的な分類基準は、売上構成比の累積で「Aランク:上位70〜80%を構成する商品群」「Bランク:80〜90%を構成する商品群」「Cランク:残り10〜20%の商品群」とするものです。この閾値は絶対的なものではなく、SKU数や商材特性に応じて調整して構いません。分析軸も売上高だけでなく、粗利益額・販売数量・出荷頻度など目的に応じて変えられます。利益改善が目的なら粗利益額、倉庫オペレーション改善が目的なら出荷頻度で分類する、といった使い分けです。顧客を分析するRFM分析が「誰が買っているか」を見るのに対し、ABC分析は「何が売れているか」を見る手法という関係で、両者を併用すると顧客と商品の両面から店舗の実態を立体的に把握できます。また、ABC分析の対象は商品に限りません。広告のキーワード(どのキーワードが売上の大半を作っているか)、取引先、問い合わせ内容など、「偏り」があるものなら何にでも応用できる汎用フレームワークです。

ECでABC分析を行う3つのメリット

ECでABC分析を行う3つのメリット

1. 在庫と資金繰りが改善する:ECでは在庫は資金そのものです。売れないCランク商品の過剰在庫は保管コストを発生させ続け、キャッシュフローを圧迫します。ABC分析でランク別に発注量・安全在庫の水準を変えれば、主力商品の欠品と不動在庫の両方を減らせます。特にFBAや楽天スーパーロジスティクスなど外部倉庫を使う場合、保管日数に応じた手数料が発生するため、Cランク在庫の圧縮は長期保管手数料の削減にそのまま直結します。

2. 広告・販促の投資判断が明確になる:楽天RPP広告やAmazonスポンサープロダクト広告の予算配分を「なんとなく全商品に」から「Aランク商品と成長中のBランク商品に重点配分」へ変えるだけで、広告費用対効果(ROAS)の改善が期待できます。お買い物マラソンやプライムデーなどイベント時の目玉商品・クーポン対象の選定にも、ランクという客観的な根拠を持ち込めます。

3. ページ改善・撮影などの作業優先度が決まる:商品ページの改修、画像のリニューアル、レビュー対策といった施策は全商品には手が回りません。売上インパクトの大きいAランク商品から着手する、という優先順位づけの根拠になります。「どの商品から手をつけるか」を属人的な勘ではなくデータで決められるため、社内の合意形成が速くなり、運営代行やコンサルなど外部パートナーとの共通言語としても機能します。

ABC分析のやり方5ステップ(Excelでできる)

ABC分析のやり方5ステップ

ABC分析は特別なツールがなくても、ExcelやGoogleスプレッドシートで実践できます。手順は次の5ステップです。

ステップ1:データを集める。RMS(楽天)、セラーセントラル(Amazon)、ストアクリエイターPro(Yahoo!)、カートシステムの管理画面から、商品別の売上データをCSVで出力します。対象期間は直近3〜12カ月が目安で、季節性のある商材は最低6カ月分を推奨します。セール月だけを対象にすると結果が歪む点に注意してください。

ステップ2:売上の降順に並べ替える。SKU単位か商品ページ単位かの集計粒度を先に決め、SUMIF関数などで商品ごとに売上を集計して大きい順にソートします。カラー・サイズ違いをまとめるなら商品ページ単位、在庫管理に使うならSKU単位が適しています。返品・キャンセル分は差し引いておきましょう。

ステップ3:売上構成比を計算する。各商品の売上 ÷ 全体売上で構成比を出します。

ステップ4:累積構成比を計算する。上から順に構成比を足し上げ、累積70%までをA、90%までをB、残りをCと分類します。IF関数で自動判定させれば毎回の作業は数分で済みます。

ステップ5:パレート図で可視化する。棒グラフ(売上)と折れ線(累積構成比)を組み合わせたパレート図にすると、売上の偏り具合がひと目で共有できます。Excelでは「挿入」→「統計グラフ」→「パレート図」を選ぶだけで作成可能です。作って終わりにせず、月次または四半期ごとに更新してランクの変動(BからAに上がった商品、Aから落ちた商品)を追うことが重要です。

SKU数が数千を超える場合や複数モールを横断して分析したい場合は、Excelでは限界が来るため、一元管理システム(OMS)や在庫管理ツール、BIツールの分析機能を使うと効率的です。楽天のR-KarteやAmazonのビジネスレポートなどモール標準の分析画面から出力したデータを組み合わせれば、追加費用をかけずに始められます。

ランク別の実務活用法|品揃え・在庫・広告への落とし込み

ランク別の実務活用法

分類して終わりでは意味がありません。ランク別の打ち手の例を紹介します。

Aランク(主力商品):欠品は機会損失に直結するため、在庫を厚めに持ち、発注サイクルを短くして最優先で管理します。実際、主力商品の欠品はモール内検索の順位下落やレビュー機会の喪失も招くため、失う売上は在庫金額以上です。広告予算を重点配分し、商品ページ・画像・レビュー対策への投資もここに集中。イベントやセールの目玉にも据えます。

Bランク(準主力):Aランクへの成長候補です。セット販売やクロスセルでの露出強化、価格・画像・広告のテストなど「育成施策」を試し、反応が良いものへ投資を増やします。Aランク商品の品切れ時の受け皿としても機能します。

Cランク(ロングテール):在庫は最小限にし、受注発注化・セールでの在庫処分・廃番も検討します。ただし機械的に切り捨てるのは危険です。「Aランク商品と一緒に買われる関連品」「検索流入の入口になっている集客商品」「発売直後でまだ評価が定まっていない新商品」「粗利率が極端に高い商品」は、売上構成比が低くても戦略的に残す判断が必要です。ここがABC分析運用の最大の注意点で、売上高という単一軸の結果だけで品揃えを決めないことが、分析を実務で機能させるコツです。

さらに一歩進めるなら、在庫回転率や粗利率と組み合わせた2軸での評価がおすすめです。たとえば「売上はAランクだが粗利率が低い商品」は価格や仕入れ条件の見直し対象、「売上はCランクだが回転率が高い商品」は在庫を絞りつつ継続、といった具合に、単純なランク分けでは見えない打ち手が浮かび上がります。小売業で古くから使われる「交差比率(粗利率×在庫回転率)」をABC分析と併用すると、利益貢献度ベースでの品揃え判断が可能になります。

まとめ|まずは直近6カ月のデータで試してみよう

ABC分析の定期運用のポイント

ABC分析は、パレートの法則をベースに商品をA・B・Cにランク分けし、在庫・広告・ページ改善の優先順位を決めるシンプルかつ強力な手法です。Excelがあれば今日から始められ、月次で回すことで「感覚頼りの運営」から「データに基づく運営」への第一歩になります。まずは直近6カ月の売上データを出力し、パレート図を作って自店舗の売上の偏りを確認するところから始めてみてください。そこで見えた上位2割の商品にリソースを寄せるだけでも、運営の生産性は目に見えて変わるはずです。

運用時の落とし穴は3つです。(1)一度分析して終わりにする(ランクは季節・トレンドで動きます)、(2)売上高だけで判断して戦略商品まで切ってしまう、(3)分類しただけで打ち手に落とさない。この3点を避け、「月次で更新→ランク変動を確認→在庫・広告・ページ改善のアクションに反映」というサイクルを回すことが、ABC分析を成果につなげる王道です。

Semuis株式会社では、楽天市場・Amazon・Yahoo!ショッピングなどECモール運営のデータ分析から、在庫・広告・商品戦略への落とし込みまでを一貫して支援しています。「分析はしたが打ち手に落とせない」「そもそもデータ整備から手伝ってほしい」という方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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