ヒートマップ分析とは?ECサイトのCVR改善に活かす見方・無料ツール・分析手順を解説
2026.07.29
- ECモール
- Webマーケティング
「アクセスはあるのに売れない」──ECサイト運営で最も多い悩みのひとつです。Google アナリティクス(GA4)を見れば「どのページで何人が離脱したか」は分かりますが、「ページのどこで、なぜ離脱したのか」までは分かりません。この「なぜ」を可視化するのがヒートマップ分析です。
本記事では、ヒートマップの種類と見方、ECサイトでの具体的な活用シーン、無料で始められるツール、そして改善につなげるための分析手順を、初めての方にも分かりやすく解説します。
ヒートマップ分析とは

ヒートマップ分析とは、Webページ上でのユーザーの行動(クリック、スクロール、マウスの動きなど)をサーモグラフィーのような色の濃淡で可視化する分析手法です。よく見られている箇所は赤く、見られていない箇所は青く表示されるため、数値の羅列では気づけない「ページ内のユーザー行動」が直感的に把握できます。
アクセス解析ツール(GA4など)が「ページ単位」の行動を数値で示すのに対し、ヒートマップは「ページ内」の行動を視覚で示します。両者は競合するものではなく、GA4で課題ページを特定し、ヒートマップで原因を特定する、という補完関係で使うのが基本です。
EC事業者にとってページ内改善の重要性は増しています。経済産業省の「令和6年度電子商取引に関する市場調査」によると、2024年の国内BtoC-EC市場規模は26.1兆円(前年比5.1%増)と拡大が続き、競争は激化しています。また、Baymard Instituteの調査では、ECサイトのカート放棄率は平均約70%とされており、「サイトに来た人をいかに逃さないか」が売上を左右します。広告費を増やして流入を買い足すより、ヒートマップで離脱の原因を潰すほうが費用対効果が高いケースは少なくありません。
ヒートマップの3つの種類と見方

ヒートマップと一口に言っても、主に3つの種類があり、それぞれ分かることが異なります。
1. クリックヒートマップ
ページ内のどこがクリック(タップ)されているかを可視化します。見るべきポイントは2つ。「押してほしいボタンが押されているか」と「リンクではない場所がクリックされていないか」です。画像や装飾テキストが頻繁にクリックされている場合、ユーザーはそこに遷移先があると誤解しています。リンク化するか、デザインを変更するかの判断材料になります。
2. スクロールヒートマップ
ページのどこまで読まれたか(到達率)を可視化します。ファーストビュー直下で到達率が急落しているなら、冒頭で「自分に関係あるページだ」と思わせられていないサイン。重要な訴求やCTAボタンが到達率の低いエリアに置かれていないかを必ず確認しましょう。
3. アテンション(熟読)ヒートマップ
ユーザーがページ内のどこを熟読しているかを滞在時間ベースで可視化します。熟読されているのに購入につながらない箇所は、興味はあるが不安や疑問が解消できていない可能性があり、FAQやレビューの追加などコンテンツ改善のヒントになります。
加えて、多くのツールには個々のユーザーの操作を動画で再生できる「セッションレコーディング」機能があります。ヒートマップが「傾向」を示すのに対し、レコーディングは「具体的なつまずき」を見せてくれます。
ECサイトでの活用シーン

ECサイトでヒートマップが特に効果を発揮するのは、次の3つの場面です。
- 商品詳細ページ:スクロールヒートマップで「価格・送料・レビュー・サイズ表のどこまで読まれているか」を確認。購入ボタンの手前で離脱が集中しているなら、送料や納期の情報がボタン付近にないことが原因かもしれません。
- ランディングページ(LP):広告流入用LPは縦に長くなりがちです。スクロール到達率50%を切る位置に主要な訴求がある場合は、構成の並べ替えを検討します。ファーストビューのCTAクリック率も重要な観察ポイントです。
- カート・購入フォーム:レコーディングで入力のつまずき(エラーの多発、入力のやり直し、途中放棄)を観察します。カート放棄率約70%という数字の内訳は、こうした「小さなストレス」の積み重ねです。
モール店舗(楽天市場やAmazon)は基本的に外部の計測タグを埋め込めないため、ヒートマップ分析は自社EC・LPが主戦場になります。モールと自社ECを併売している事業者は、自社EC側の改善にこそこの手法を活かしましょう。
無料で始められるヒートマップツール

ヒートマップ分析は無料で始められます。代表的なのがMicrosoftが2020年から提供している「Microsoft Clarity(クラリティ)」です。完全無料でセッション数の上限がなく、ヒートマップ(クリック・スクロール・エリア)、セッションレコーディング、AIによる要約・分析機能までカバーしており、最初の1本として十分な機能を備えています。
導入は、発行された計測タグをサイトに設置するだけです。Google タグマネージャー(GTM)経由なら数分で完了し、GA4との連携機能もあります。なお、ECサイトで利用する際は個人情報のマスキング設定(Clarityでは「厳密」モード)を必ず確認し、プライバシーポリシーへの記載も整備しておきましょう。
有料ツールには、国産で日本語サポートが手厚いもの、A/Bテスト機能やWeb接客機能を統合したものなどがあります。まずは無料ツールで「ヒートマップを見て改善する習慣」を作り、組織的に運用する段階で有料ツールを検討する、という順番がおすすめです。
改善につなげる分析手順とチェックリスト

ヒートマップは「眺める」だけでは成果につながりません。次の5ステップで改善サイクルを回します。
- 課題ページの特定:GA4で離脱率・直帰率が高く、かつアクセス数が多いページを選ぶ(インパクトの大きい順に着手)。
- 仮説を立てる:スクロール到達率・クリック分布・レコーディングから「どこで・なぜ」離脱しているかの仮説を立てる。
- 改善案を1つ実施:CTAの位置変更、情報の並べ替え、不安要素(送料・返品条件)の明示など、一度に変えるのは原則1箇所。
- 効果検証:改善前後でCVR・到達率・クリック率を比較する。可能であればA/Bテストで検証する。
- 横展開:効果があった改善パターンを他ページ・他商品に展開する。
分析時のチェックリストとしては、「デバイス別(スマホ/PC)に分けて見ているか」「十分なサンプル数(目安として数百セッション以上)が貯まってから判断しているか」「セール期など特殊な期間のデータで判断していないか」の3点を押さえておくと、誤った結論を避けられます。
Semuis株式会社では、ECサイト・LPのアクセス解析からヒートマップを活用したCVR改善、広告運用までを一貫して支援しています。「データはあるが、どこから手をつければいいか分からない」という方は、お気軽にお問い合わせください。

Semuis株式会社 代表取締役。BtoBマーケティング・セールス支援、ECコンサルティング、BPO、リスキリング事業を展開。まだ世に広まっていない優良企業の発掘と、挑戦欲の高い個人の成長に貢献することにコミット。趣味はブラジル音楽と筋トレ、読書など。note→ https://note.com/yamakami_semuis
