Amazonアカウント健全性評価(AHR)とは?出品停止を防ぐ指標と改善対策をわかりやすく解説
2026.07.29
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Amazonで出品を続けるうえで、売上と同じくらい重要なのが「アカウントを止められないこと」です。どれだけ広告やSEOで売上を伸ばしても、出品用アカウントが停止されれば売上はゼロになり、FBA在庫や売上金の引き出しにも影響が出ます。その停止リスクを日常的に可視化してくれるのが「アカウント健全性評価(AHR:Account Health Rating)」です。
本記事では、AHRの仕組みとスコアの見方、健全性を構成する評価指標、アカウント停止につながる典型的な原因、そして日常運用でできる予防策と違反通知を受けた際の対応手順まで、実務ですぐ使える形で解説します。
Amazonアカウント健全性評価(AHR)とは

アカウント健全性評価(AHR)とは、出品者がAmazonの出品ポリシーをどの程度遵守できているかを0〜1,000のスコアで表した指標です。セラーセントラルの「パフォーマンス」→「アカウント健全性」から誰でも確認でき、スコアは色分けで表示されます。
スコアの目安は次のとおりです。一般に200以上が「健全(緑)」、100〜199が「リスクあり(黄)」、99以下が「停止リスクが高い状態(赤)」とされ、重大な規約違反がなく、発生した違反に迅速に対処していれば健全な状態を維持できます。
AHRは「未解決の違反の数と重大度」および「アカウントがAmazonの顧客体験にどれだけ貢献しているか(直近の販売実績)」によって日々変動します。つまり、違反を放置すればするほどスコアは下がり、逆に違反通知に素早く対応すればスコアは回復していく仕組みです。
背景として押さえておきたいのは、EC市場の拡大とともにAmazonがマーケットプレイスの品質管理を年々厳格化していることです。経済産業省の「令和6年度電子商取引に関する市場調査」(2025年8月公表)によると、2024年の国内BtoC-EC市場規模は26.1兆円(前年比5.1%増)、物販系分野は15兆2,194億円に達しています。市場が大きくなるほど模倣品や規約違反への監視は強まり、出品者側にも継続的なコンプライアンス対応が求められています。
AHRを構成する3つの評価領域と主要指標

アカウント健全性のダッシュボードは、大きく3つの領域で構成されています。それぞれにAmazonが定める目標値(パフォーマンス基準)があり、これを下回ると警告や出品停止の対象になります。
1. 顧客サービスのパフォーマンス
中心となる指標は「注文不良率(ODR:Order Defect Rate)」です。ODRは、低評価(星1〜2)、Amazonマーケットプレイス保証申請、チャージバックのいずれかが発生した注文の割合で、1%未満に維持することが求められます。直近60日間の注文が母数になるため、注文数が少ない店舗ほど1件の低評価の影響が大きい点に注意が必要です。
2. 配送のパフォーマンス(自己発送)
自己発送(FBM)の出品者には、出荷遅延率(LSR)4%未満、出荷前キャンセル率(CR)2.5%未満、追跡可能率(VTR)95%以上という基準が設けられています。FBA(フルフィルメント by Amazon)を利用している注文は配送起因の指標が出品者の責任から外れるため、配送品質に不安がある場合はFBA活用が有力な防御策になります。
3. ポリシーの遵守
知的財産権の侵害申告、商品の真贋(しんがん)に関する申し立て、出品規約違反、レビュー操作などの規約違反がここに表示されます。AHRのスコアを大きく下げるのは主にこの領域で、特に真贋調査や知的財産権侵害は1件でもアカウント停止に直結し得る重大違反として扱われます。
アカウント停止につながる主な原因

実務でアカウント停止・出品停止の引き金になりやすいのは、次のようなケースです。
- 真贋調査への対応不備:正規品であっても、請求書(サプライヤーからの仕入れ証明)を提出できなければ「真贋を証明できない」と判断されます。並行輸入品や古物仕入れは特に注意が必要です。
- 知的財産権の侵害申告:商標・意匠・著作権の権利者からの申告。相乗り出品時のブランド権利侵害が典型例です。
- ODRの悪化:低評価やマーケットプレイス保証申請の急増。商品品質・配送遅延・説明との相違が主因です。
- 規約で禁止された行為:レビューの見返り提供、外部サイトへの誘導、複数アカウントの無許可運用など。
- 出品情報のポリシー違反:薬機法・景品表示法に抵触する表現、禁止商品の出品、カテゴリー申請漏れなど。
重要なのは、これらの多くが「意図的な違反」ではなく「知らなかった」「対応が遅れた」ことで発生している点です。違反通知はセラーセントラルとメールに届きますが、見落として放置した結果、期限切れでアカウント停止に至るケースが少なくありません。
健全性を維持する日常運用チェックリスト

アカウント健全性の維持は、特別な施策よりも日々の運用ルーティンで決まります。以下をチェックリストとして活用してください。
- 毎営業日:アカウント健全性ダッシュボードを確認する(違反通知・パフォーマンス通知をゼロにする運用を徹底)
- 毎営業日:24時間以内の返信を徹底する(購入者からの問い合わせ放置はODR悪化の入口)
- 週次:ODR・LSR・キャンセル率・VTRの推移を記録する(基準値に近づいたら原因分析)
- 週次:低評価レビューと返品理由を確認し、商品ページの説明・画像とのギャップを修正する
- 仕入れ時:請求書・納品書を必ず保管する(真贋調査ではAmazonの要件を満たす請求書の提出が必要。領収書やレシートでは不十分な場合があります)
- 新規出品時:商標・ブランド権利、出品規制、法令(薬機法・景表法)を事前確認する
- 繁忙期前:在庫と出荷体制を見直す(セール期の出荷遅延はLSR悪化の典型パターン)
また、Amazonには重大な問題が見つかった際に、一定の条件を満たす出品者へ即時停止ではなく72時間の猶予を与える「アカウント健全性保証(Account Health Assurance)」の仕組みもあります。日頃からAHRを高水準(一般に250以上が条件のひとつ)に保つことが、いざというときの保険にもなります。
違反通知・アカウント停止時の対応手順

万一、違反通知やアカウント停止の通知を受けた場合は、次の手順で落ち着いて対応します。
- 通知内容の正確な把握:アカウント健全性画面で「どの商品(ASIN)が」「どのポリシーに」抵触したとされているかを確認します。
- 原因の特定:社内の受注・仕入れ・出品情報を照合し、事実関係を整理します。
- 改善計画書(POA:Plan of Action)の作成:「根本原因」「実施済みの是正措置」「再発防止策」の3点を、事実ベースで簡潔に記述します。感情的な釈明や言い訳は逆効果です。
- 証憑の添付:真贋関連なら請求書、配送関連なら追跡番号の記録など、主張を裏付ける書類を揃えます。
- 提出とフォローアップ:提出後は審査結果を待ち、追加資料の要求には期限内に対応します。
改善計画書は一度却下されると再審査のハードルが上がるため、初回提出の完成度が重要です。原因が複合的な場合や重大違反の場合は、Amazon運用の専門家に相談しながら進めることをおすすめします。
アカウント健全性は「攻めの売上施策」の土台となる守りのインフラです。Semuis株式会社では、Amazonをはじめとした ECモール運営の代行・コンサルティングを通じて、アカウント運用体制の構築から違反対応までを支援しています。「健全性の管理まで手が回らない」「違反通知への対応に不安がある」という方は、お気軽にお問い合わせください。

Semuis株式会社 代表取締役。BtoBマーケティング・セールス支援、ECコンサルティング、BPO、リスキリング事業を展開。まだ世に広まっていない優良企業の発掘と、挑戦欲の高い個人の成長に貢献することにコミット。趣味はブラジル音楽と筋トレ、読書など。note→ https://note.com/yamakami_semuis
