ギフトECとは?拡大する市場と「贈り物需要」を売上につなげる対応ポイントを解説
2026.07.16
- ECモール
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母の日、父の日、お中元、お歳暮、誕生日、内祝い——ギフトは季節を問わず発生する、単価が高く値引き競争になりにくい魅力的な需要です。近年はギフトの購入チャネルが店頭からECへ移り、住所を知らない相手にSNSで贈れる「eギフト」という新しい市場も生まれています。本記事では、ギフトECの基本、市場動向、ECモールでのギフト対応機能、そして贈り物需要を売上につなげる施策を、EC運営支援を行うSemuis株式会社が解説します。
ギフトECとは

ギフトECとは、贈り物用途の商品をECサイトやECモールで販売すること、およびそのための売り場づくり・サービス対応の総称です。自分用の買い物(自家需要)と異なり、ギフトには「相手に直接届ける」「包装やのしが必要」「価格がわかるものを同梱してほしくない」「贈る日付に確実に届けたい」といった特有の要件があります。これらに応えられる体制を整えることが、ギフトECの出発点です。
ギフトは大きく2つに分類されます。1つは、お中元・お歳暮・母の日・父の日などの「フォーマルギフト(儀礼ギフト)」。もう1つは、誕生日プレゼントやちょっとしたお礼、自分へのご褒美の延長で贈る「カジュアルギフト」です。儀礼的な贈答習慣は長期的には縮小傾向にある一方、SNSの普及を背景にカジュアルギフトは拡大しており、ギフト需要の主役は世代交代が進んでいます。
さらに近年注目されているのが「eギフト(ソーシャルギフト)」です。受け取り用URLをLINEやSNSで送るだけで贈れる仕組みで、相手の住所を知らなくてもギフトを贈れます。受け取った側が自分で住所や受取方法を入力するため、個人情報のやり取りが不要という点が、現代のコミュニケーションと相性の良い特徴です。誕生日にコーヒーチケットをLINEで贈る、リモートワークの同僚にお礼のスイーツを送る、といった少額・即時のギフトが典型例で、「思い立った瞬間に贈れる」ことで従来は発生しなかったギフト機会そのものを生み出している点が、eギフトの市場拡大の背景にあります。
ギフト市場の規模とEC化の進行

矢野経済研究所の「ギフト市場に関する調査」によると、国内ギフト市場は約10兆円規模で推移しており、コロナ禍で一時縮小したものの、その後は回復基調にあります。同調査では、帰省や対面の機会が減った時期に「会えない代わりに贈る」需要が伸びたこと、カジュアルギフトやeギフトが市場の成長を牽引していることが指摘されています。
購入チャネルのEC化も進んでいます。経済産業省の「電子商取引に関する市場調査」(令和5年度)では物販系BtoC-EC市場は約14.6兆円、EC化率9.38%と右肩上がりが続いており、ギフトも例外ではありません。特に食品・スイーツ、花、コスメといったギフト定番カテゴリでは、ECモールの検索窓に「母の日 スイーツ」「誕生日プレゼント 女性」といったギフト目的のキーワードが大量に流入します。楽天市場やAmazonが母の日・お歳暮などの特集ページを年々強化していることからも、モール側がギフト需要を重視していることがわかります。とりわけeギフトは、これまでギフトを贈る習慣の薄かった若年層の利用が広がっており、少額でも頻度が高い「日常ギフト」という新しい消費行動を定着させつつあります。
ギフト需要には、事業者にとって見逃せない特徴が3つあります。(1)価格比較されにくく、値引きよりも「見栄え」「安心感」「体験」で選ばれるため利益率を確保しやすい。(2)シーズンごとに需要の山が予測できるため、計画的に販促を打てる。(3)贈った相手が気に入れば自分用に購入する「受け手の新規顧客化」が起こる。自家需要の獲得競争が激化するなかで、ギフトは中小EC事業者にとって有力な差別化軸です。実際、食品や花などのギフト定番カテゴリでは、母の日やお歳暮などのピーク月に月商が通常月の数倍になる店舗も珍しくなく、年間の売上計画にギフトシーズンをどう組み込むかが店舗運営の巧拙を分けます。
ECモールのギフト対応機能を活用する

主要ECモールには、ギフト販売を支援する機能が用意されています。まずは自店舗が使えるものを棚卸ししましょう。
楽天市場では、ラッピング・のし対応の設定、お届け日指定、あす楽による翌日配送に加え、母の日・お中元などのシーズンには公式のギフト特集企画が展開され、対応店舗は特集ページからの流入を獲得できます。商品ページに「ギフト対応」の明記があるかどうかで、ギフト目的ユーザーの転換率は大きく変わります。
Amazonでは、注文時に購入者が「ギフト設定」を選ぶと、ギフトラッピングやギフトメッセージ、金額の記載がない納品書での発送が可能になります。FBAを利用していればギフト設定への対応もAmazon側で行われるため、自社で包装体制を持たない事業者でもギフト需要を取り込めます。出品者側で必要なのは、ギフト設定を有効化しておくことと、ラッピング対象カテゴリの条件を確認しておくことです。あわせて、商品画像の2枚目以降にギフトボックスやラッピングのイメージを入れておくと、検索結果からの流入時に「ギフトに使える商品」であることが一目で伝わります。
自社ECでは、カートシステムのギフトオプション(ラッピング選択、のし名入れ、届け先複数指定、明細書の金額非表示)の設定に加え、eギフトサービスとの連携も選択肢になります。モール・自社ECいずれの場合も、「対応していること」を商品ページ上で明確に伝えることが第一歩です。対応していても書かれていなければ、ユーザーには存在しないのと同じです。
ギフト需要を売上につなげる5つの施策

施策1:ギフトキーワードでの検索対策。「母の日 ギフト」「内祝い お菓子」など、用途×カテゴリのキーワードを商品名・キャッチコピーに計画的に盛り込みます。シーズンの1〜2か月前から検索が伸び始めるため、需要の山より早く手を打つのが鉄則です。「誰に贈るか(母・父・上司・友人)」「何の機会か(誕生日・還暦・退職祝い)」の掛け合わせでキーワードは無数に広がるため、自店舗の商品と相性の良い組み合わせをモール内検索のサジェストから拾い出すと効率的です。
施策2:ギフト用商品ページの整備。ラッピングイメージ写真、のし対応の説明、お届け日目安、金額非表示の明細対応など、贈り主の不安を先回りして解消する情報を掲載します。「ギフト対応」バナーを商品画像に含めるだけでも転換率に差が出ます。
施策3:シーズンイベントカレンダーの作成。母の日・父の日・お中元・敬老の日・お歳暮・クリスマス・バレンタインなど、年間のギフトイベントを一覧化し、在庫計画・ページ更新・広告出稿を前倒しでスケジュール化します。モールの特集ページへの参加には事前エントリーが必要な場合が多いため、締切の管理までカレンダーに含めておくと機会損失を防げます。
施策4:単価アップの設計。ラッピング有料オプション、メッセージカード、セット商品化など、ギフトならではの付加価値で客単価を高めます。ギフトは自家需要より価格感度が低いため、セット提案が通りやすい領域です。
施策5:受け手を次の顧客に変える導線。同梱するリーフレットやブランドカードから商品ページへ誘導し、「もらって気に入った人」の自家購入・再ギフトにつなげます。ギフトECは一度の注文で「贈り主」と「受け手」の2人に接点を持てる、数少ない販売形態です。
最後に、ギフトECならではの注意点にも触れておきます。ギフトは「贈る日」が決まっているため、配送遅延や品違いが自家需要以上に深刻なクレームにつながります。シーズンピーク時の出荷キャパシティを事前に見積もり、受注上限やお届け日の余裕を設定しておくこと、ラッピング資材の在庫を商品在庫とセットで管理すること、金額のわかる納品書を同梱しないオペレーションを徹底することは、施策以前の必須要件です。ギフトのレビューは「贈った相手の反応」まで含めて書かれるため、良い対応は通常以上に強いレビュー資産になり、逆もまた然りです。
まとめ:ギフトは中小ECの有力な差別化軸

ギフトECは、約10兆円規模のギフト市場とECの成長が重なる領域であり、価格競争に巻き込まれにくく、需要の時期が読めて、受け手という新規顧客まで獲得できる、中小EC事業者にとって費用対効果の高い打ち手です。一方で、包装・のし・配送日・明細書対応といった基本要件を欠くと、レビュー低評価に直結しやすい領域でもあります。まずはモールのギフト機能の有効化と商品ページでの明記から始めましょう。次のギフトシーズンから逆算して、「機能の有効化→ページ整備→検索対策→特集エントリー→出荷体制の確認」という順番で1つずつ整えていけば、既存の商品ラインナップのままでも新しい売上の柱を作ることができます。
Semuis株式会社では、楽天市場・AmazonをはじめとするECモールの運営支援を行っており、ギフト特集への対応、シーズン販促の設計、商品ページ改善までワンストップでサポートしています。「ギフト需要を取り込みたいが何から始めればいいかわからない」という方は、ぜひお気軽にお問い合わせフォームからご相談ください。

Semuis株式会社 代表取締役。BtoBマーケティング・セールス支援、ECコンサルティング、BPO、リスキリング事業を展開。まだ世に広まっていない優良企業の発掘と、挑戦欲の高い個人の成長に貢献することにコミット。趣味はブラジル音楽と筋トレ、読書など。note→ https://note.com/yamakami_semuis
